2022.06.20
妊娠を望んで(不妊治療などを視野に入れ)病院に行くときに、ぜひ確認しておきたいのが自身の住んでいる地域の『自治体の助成制度』です。不妊の検査や治療を行った場合、自治体から助成金が給付されるケースがあります。
2022年4月から「一般不妊治療(タイミング法・人工授精など)」「生殖補助医療(体外受精・顕微授精など)」といった基本治療がすべて保険適用されることになりました。
これとは別に、自治体が独自で不妊治療を受けた人に対して助成を設けている場合があります。
助成の内容や対象はさまざまですが、中には検査だけでも助成が受けられるケースがあります。
妊娠を希望して病院やクリニックを受診する際には、自分が暮らす自治体に助成制度がないか、ぜひチェックしてみましょう。
不妊治療の助成金は、これまでは保険適用外の治療に対しての助成が多かったのですが、最近は保険適用の治療や不妊検査にも助成を設ける自治体が増えています。一例として、東京都の助成について取り上げます。(記事作成時:2022年5月現在)
東京都の「不妊検査等助成事業」では、保険適用後も変わらず、保険医療機関で行った不妊検査、薬物療法、人工授精等の一般不妊治療にかかる費用について、5万円を上限に助成しています。これには保険薬局の調剤も含みます。助成回数は、夫婦1組につき1回限りです。
[対象となる主な検査]
○夫
精液検査、内分泌検査、画像検査、精子受精能検査、染色体・遺伝子検査 など
○妻
超音波検査、内分泌検査、感染症検査、卵管疎通性検査、フーナーテスト、子宮鏡検査 など
[対象となる主な治療]
待機療法(タイミング指導)、薬物療法、人工授精 など
不妊検査等助成事業の対象となるのは、以下に当てはまるカップルです。
・都内に住民登録をしていること(法律婚と事実婚で要件が違います)。
・検査開始日に妻の年齢が40歳未満であること。(*1)
・助成対象期間内に保険医療機関において夫婦ともに助成対象の検査を受けていること。
*1:検査開始日が平成31年3月31日以前の場合は、35歳未満が対象。
助成対象となる期間は、検査開始から1年間です。
夫婦それぞれの初めての検査開始日の、いずれか早い日から起算して1年となります。
1年以内で妊娠した場合や、生殖補助医療(特定不妊治療)に移行した場合は、不妊検査等助成事業の対象期間は終了します。
ほかにも、さまざまな自治体で不妊の検査や治療に対する助成が設けられています。
埼玉県では「ウェルカムベイビープロジェクト関連事業」の一環として「早期不妊検査費助成事業(こうのとり健診推進事業)」を実施しています。この事業では、保険適用後も変わらず、夫婦そろって受けた不妊検査の費用を、2万円を上限に助成しています。
千葉県船橋市では、一般不妊検査と治療(男性不妊を含む)を受けた夫婦を対象に、1回の申請につき自己負担額の2分の1を、5万円を上限に助成しています(通算2回まで)。
一般不妊治療は、タイミング療法、人工授精、薬物療法、男性不妊等の一般不妊検査と治療です。
不妊治療の令和4年4月からの保険適用移行に伴い、「一般不妊治療費等助成事業」自体がなくなります。
助成の対象となる治療は令和4年3月31日までの治療分となっています。
申請期限は治療最終日の1年後までか、令和5年3月31日までのいずれか早い方で、どのような事情があっても申請期限後の申請はできません。
該当する人は早めに必要書類を整え、速やかに申請するようにしましょう。
助成制度は、年齢や収入などの条件を設けていることもあるので、詳しくは自治体のホームページ等で確認しましょう。
掲載している内容はほんの一例で、多くの自治体で独自の助成が行われています。
令和4年4月からの不妊治療の保険適用をきっかけに助成制度の内容が変わった自治体も多くありますので
「妊娠に適した状態か、まずは一度検査を受けてみよう」というカップルは、ぜひ改めて自身の住んでいる自治体の制度を調べてみましょう。
不妊治療の助成制度に関する情報を調べる場合は、自治体のホームページなどをチェックしてみましょう。健康や医療関係、子育てに関する部署が担当になることが多いようです。自治体のホームページ内の検索で「不妊治療 助成」などで探してみるのもいいでしょう。
[参考リンク]
東京都:不妊検査等助成事業
船橋市:令和3年度 一般不妊治療費等助成事業(2021年11月4日更新)
《 監修 》
菅原 直子(すがわら なおこ) ファイナンシャルプランナー
子育て世帯にかかせないお金知識を自治体の講座などわかりやすく解説。学生向け奨学金講座や新聞・雑誌等に教育費に関するコメント・執筆も。「子どもにかけるお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」メンバー。