2020.04.27
妊娠がわかった時、まずは赤ちゃんを無事に出産するためにどのような病院を希望するか検討する必要があります。本記事では、病院の種類とポイントをご紹介します。
現在の日本では、次のような場所で出産が可能です。なお、出産方法(自然分娩なのか計画分娩なのかなど)や、希望する病院の特徴(入院部屋は個室なのか相部屋なのか、産後は母子同室か別室かなど)は施設ごとに違いがあるので、自分たちのバースプランなどに合わせて選択しましょう。
<総合病院>
医療設備が整っており、いくつもの科があるため、万が一の際にも他の科と連携が取れ、トラブルにも対応可能です。またNICU(新生児特定集中治療室)*が併設されている病院もあり、持病がある方や、高齢出産の方は安心です。しかし病院の規模が大きいため、「待ち時間が長い」「健診の医師が毎回変わる」「外来と入院中のスタッフが異なる」といった面もあります。また、総合病院でも産科を閉鎖し、分娩数の制限を設けている病院も少なくありません。産科があるか、分娩までできるかを事前に確認した方が安心です。
*NICUは、生まれたばかりの赤ちゃんが医療の助けを必要としている時に治療のために入る集中治療室です。
<大学病院>
総合病院と同じく他の科との連携が取れるために、トラブルに対応可能です。NICUが併設されていたり、最新の医療設備が整っていたりします。出産の途中で、なにかトラブルが起きてもすばやい対応が期待できます。
総合病院と同じく「待ち時間が長い」「健診の医師が毎回変わる」といった、スタッフとのコミュニケーションが取りにくい一面もあります。また、大学病院は教育機関でもありますので、研修医や医療系の学生の見学や実習の対象になることもあります。
<産婦人科病院>
ベッド数が20床以上の産婦人科専門の医院のことを指します。健診から分娩まで同じ医師が多く、医師や看護師とコミュニケーションをとりやすいようです。年間の出産件数も多く、スタッフは出産やその後のケアに関して経験豊富です。小児科が併設されているところも多いですから、出産後も継続して、通院が可能です。
ハイリスクの妊婦さんには対応していないところもあり、急なトラブルの際には別の病院へ搬送される可能性もあります。
<個人医院・クリニック>
ベッド数が20床未満の病院のことを指します。産婦人科医院と比べると、より病院の特色が強く出るために、自分の理想とするバースプランにぴったりの医院の場合は手厚く、満足のいく出産を望める可能性があります。ハイリスク出産には対応していないところもあり、トラブルの際には別の病院へ搬送されるケースもあります。
<助産院>
助産師が開設している、正常分娩のみを取り扱う施設です。持病や身体に問題がなく、自然分娩に臨める妊婦さんが前提です。家庭的な雰囲気のなか、精神的なアドバイスやフォローを受けられます。陣痛からずっと付き添ってみてもらって出産に臨めます。
また、分娩時万一があった場合の緊急時の医療処置(点滴など)は、嘱託医の指示により行え、また提携病院への搬送などにより対応をします。妊婦健診は基本的に助産院で行いますが、妊娠中2~3回程度嘱託医での健診が必要になります。
<自宅出産>
問題なく自然分娩に臨める妊婦さんのみ対応できます。助産師や医師で、自宅出産を介助しているところもありますので、助産院や病院で尋ねてみましょう。また、自宅出産の場合でも病院で医師の診察・健診・検査を受ける必要がありますので、必ず医療とのつながりを持っておきましょう。
初診から満足できる病院に出会えたらよいのですが、そうならないこともあります。1~3回通ってみて、どうも相性がわるい、希望に合わないと感じた時は、ためらわず転院の検討も行いましょう。出産は、お母さんにとっても家族にとっても大切なことです。十分に納得できる環境で、その日を迎えるようにしてください。
自宅と病院は近い方が理想的ですが、お産の病院を「近いから」という理由だけで決めるのはやめて、自分たちのバースプランを元に視野を広げてみることをおすすめします。妊娠中は健診で14回ほど、体調が元通りになっていない産後1カ月後にも、赤ちゃんの1カ月健診で足を運ぶ必要がありますので、大体車で1時間以内の場所、車以外の公共の交通機関を利用した場合で30~40分ほどで通える距離が理想です。
病院の情報は、インターネットや雑誌や書籍などいろいろな方法で探せます。しかし、できれば実際に足を運んでみたり、実際に利用したことがある人から話を聞き、病院の雰囲気などに触れておくことも大切です。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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