2020.05.25
子宮底(子宮の上端部にある丸みを帯びた部分)の位置は妊娠月数が進むにつれ高くなりますが、妊娠9カ月末になると妊娠中で一番高いところ、みぞおち付近まで高くなります。そのことにより、肺が 圧迫気味になり呼吸がしにくく感じるかもしれません。妊娠9カ月末以降は、子宮底はこれまでとは逆に少しずつ下がっていき、妊娠10カ月末では再び妊娠8カ月末の時と同じぐらいの位置になります。
また、子宮の下部にあって、膣(ちつ)とつながっている子宮頸部は妊娠中、赤ちゃんを子宮内にとどめるために固く閉じた状態を保っています。しかし、出産に向け、徐々にホルモンが分泌され、少しずつ子宮頸部が柔らかくなり始めます。
その他にも、様々なマイナートラブルが起こりやすい時期で、大きくなったおなかの影響で腰に負担がかかり、腰痛になることもあります。長時間、寝たきりや座りきりでいるといったように、同じ姿勢でいると痛みが強まる傾向にありますので、日中も座ってばかりいるのではなく、適度に体を動かして腰痛の予防に努めましょう。
≪注意すべき病気と症状≫
大きくなった子宮が周囲の臓器を圧迫し、様々 なマイナートラブルが起こるようになります。特に多いのが、尿漏れ。くしゃみなど、ちょっとした拍子に尿漏れしてしまうこともありますが、多くの妊婦さんが経験することなので恥ずかしいと思う必要はありません。また膀胱が圧迫される分、頻尿になることも多いようです。トイレを我慢するのは体によくないので、外出時などはタイミングを見てこまめにトイレへ行くよう心がけましょう。
①やっておくべきこと
いつ陣痛が始まってもいいように入院できる準備をしておきましょう。
出産する予定の医療機関からは、入院時に必要なものについて指示があります。自分で持参するもの、医療機関で用意されているものなどを確認し、いつでも入院できるよう荷物はまとめておきましょう。
また、まとめた荷物の置き場所は家族にも伝えておき、いざという時は病院へ持ってきてもらうようにしましょう。入院時の 移動手段の確認や確保、夜間や家族の不在時、外出時の対応などを家族で話し合っておきましょう。
(▶関連:出産入院に必要なものリスト)
②やらないほうがいいこと
海外旅行などは控えましょう。また、長時間の移動は心身ともに負担がかかりますので、休憩を普段より多めにとったり、無理のないスケジュールを組むようにしましょう。
熱いお風呂に長時間入るのも避けるようにしましょう。循環血液量が増えているので、脳貧血や立ちくらみを起こす場合があります。
いろいろなマイナートラブルで大変なこともありますが、出産まであと少しの間、心身ともに健やかに過ごせるよう工夫をしましょう。
この時期の出産は早産にあたりますので早産になるのを避けるためにも、日々の生活での無理は禁物です。
皮下脂肪がついてふっくらしてきます。
顔やおなかの産毛も消失し、皆さんがイメージする赤ちゃんらしい見た目になるころです。
このころの赤ちゃんは寝たり、起きたりを20分おきぐらいで繰り返しています。
心拍数を測ると、寝ている時は減り、起きている時は増える、という違いが見られるようになってきます。
おなかの中にいるころは、ガス交換(酸素と二酸化炭素を交換すること)を胎盤に頼っていますが、出生と同時に、肺胞でガス交換をしないといけません(そのために、私たちは、呼吸をおこなっています)。
この肺胞を十分にふくらませ、働きやすくしてくれるのが肺サーファクタントといわれるものです。
肺サーファクタントは妊娠20週ころから肺胞で作られ始め、妊娠34週ごろから急増します。
もし、予定日前に生まれても、妊娠34週以降なら、赤ちゃんは人工呼吸器に頼らず、自力で呼吸できるようになります(もちろん、まだまだ未熟な部分もありますので、人工呼吸器が必要になることもあります)。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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