2020.07.13
赤ちゃんの身体と心。その成長は、一つの器官と深く結びついています。それは「脳」です。人間は、脳を発達させることで、知能や感情が芽生え、人間らしさを育んでいきます。
脳について知るためには、構造的な発達と機能的な発達の二つの側面から見ていくことが大切です。
まず構造的には、次のように発達していきます。
・精子と卵子が受精してから6カ月以内に、一生分の脳細胞ができるといわれています。
・妊娠3週目には、神経管と呼ばれるストロー状のものができます。
・妊娠3~4週目には神経管の前方が膨らみ、前脳胞・中脳胞・後脳胞の3つの脳胞を形成します。
・妊娠7週目には、脳内に存在する神経細胞の分化が始まり、他の神経細胞とのネットワークの形成が始まります。
・妊娠8週目に入り、心音が確認できる胎児期の始まりになると、脳の基礎的な構造がほぼできあがります。
・妊娠20週目ごろになると、脳にしわが入ってきます。
その後、脳はどんどん大きくなりながらしわができ、大きさ以外のしわや脳内のネットワーク、身体を動かすための大脳の神経線維、左右の脳をつなぐ脳梁の配置などは、赤ちゃんが生まれるころには、大人の脳とほぼ変わらないくらいに完成しています。
しかし、構造的には大人の脳と変わりないほど完成していても、機能的な面から見ると、まだまだ未完成です。
脳は、神経細胞のつなぎ目の役割を果たしているシナプスの形成によって機能しています。この神経細胞のつなぎ目であるシナプスの数は、新生児の時期から生後6カ月~12カ月にかけて急激に増えていきますが、ピークに達した後は減っていく一方だということも分かっています。
大人になってもシナプスの形成は行われますが、それに対してシナプスが刈り込まれるので、増減のバランスで、減っていくことになるわけです。よって、シナプスの形成がさかんになる新生児の時期から生後6カ月~12カ月は、赤ちゃんへの様々な刺激がとても大切なのです。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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