2020.01.31
卵巣内にある卵胞は、1つの卵胞だけが発育しているわけではなく、常に多数の卵胞がバラバラのタイミングで発育をしています。
卵胞の発育を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)のはたらきによって、そのときの周期に合ったタイミングで発育していた1つの卵胞を選択します。
選ばれた卵胞は首席卵胞と呼ばれ、自らがエストロゲン(卵胞ホルモン/E2)を分泌しはじめます。このエストロゲンには2つのはたらきがあります。
首席卵胞以外の卵胞は発育ができなくなり、閉鎖されます。首席卵胞は少量のFSHでも発育できるため、その後も大きくなっていきます。
着床に向けて子宮内膜を厚くするはたらきがあります。
首席卵胞の成熟がすすみ、エストロゲンの分泌がピークになると、今度は下垂体から排卵を促進するプロゲステロン(黄体ホルモン/LH)が大量に分泌されます(LHサージ)。
すると、プロゲステロンの分泌が始まってから36時間後ほどで首席卵胞が排卵されます。
一言に「卵胞」といっても、見た目や構造、大きさは発育段階によって様々です。
最も初期の卵胞は原始卵胞と呼ばれ、卵子の周りに小さい1種類の体細胞が少しくっついているだけの構造です。卵子の大きさは直径約0.03mmとまだ小さく、周りの体細胞も少ないため、卵子の大きさはほぼ卵胞全体の大きさになります。
一方で、排卵間近の卵胞は卵子が数種類の多数の体細胞によって囲まれています。卵子は約0.1mmまで大きくなり、卵胞全体の大きさは約20mmもあります。
排卵される卵胞は顕微鏡でやっと見えるようなサイズから、肉眼でも認識できるような大きさまで発育するのです。
卵子は胎児の時(20週の頃)にすでに600-700万作られており、出産時期になると200万個までに減少します。さらに思春期から生殖適齢期には30-50万個に、37歳くらいまでに2万個に、閉経時期の51歳までには1000個程度にまで減少すると言われています。1)
1回の月経周期に1個排出される以外は、女性の身体の中でどんどん減少していきます。
この卵子の数は、生まれてから増えることはありません。
卵巣内の残りの卵胞数は年齢を重ねるほど減少していきます。しかし、昔や今現在の生活習慣、もともとの個人差など、多くのことが影響してくるため、同じ年齢の女性であっても、卵巣内にある卵胞数は様々です。
また、卵子は胎児の時から身体の中にあるので、持ち主の年齢+1歳加齢を重ねます。(たとえば、現在30歳の人の卵子年齢は31歳です。)加齢に伴い、卵子も老化することがわかっています。今は妊娠を望んでいなくても、そのことを念頭において、ライフプランを考えることが大切です。
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『参考資料』
1) Faddy MJ1, Gosden RG, Gougeon A, Richardson SJ, Nelson JF. Accelerated dis-ap pearance of ovarian follicles in mid-life: implications for forecast-ing menopause. Hum Reprod. 1992;7:1342-1346.
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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