2020.01.31
妊活や不妊治療中に限らない話ですが、フルタイムで働きながらプライベートな所用を平日にこなすのは難しいですよね。
9:00~18:00など、平日の決められた時間に働き、そこに用事を入れ込みたい場合にどうするか。
有給休暇がまず挙げられますが、法律で認められた権利とはいえ、人手不足や属人的な仕事が多いなどの理由で取得をためらうケースは枚挙に暇がありません。
1日休まなくても、早く退社できるなど、柔軟な働き方はできないものなのでしょうか。
時短勤務とは、決められた労働時間(所定労働時間)よりも、短い時間で勤務する制度のことをいいます。
正社員など現在の職制を変更せず、継続して勤務することができ、もとのフルタイム勤務に戻ることが可能です。
ただし、日によって退社時間を変える等の対応は、会社として管理が煩雑になりますので、認められないことが多いでしょう。
また、勤務時間が減る分、給料も当然減ります。
妊娠中や育児中の社員が、「時短勤務しています!」というのはよく聞きますよね。
法律上の要請もありますし、会社として配慮しようと制度を整えている例もあります。
しかしながら、妊娠希望者への配慮については、会社に義務付けられていないのが実際のところです。
そのため妊娠希望者が時短勤務を選択できるかどうかは、会社の制度・判断次第となってきます。
大きな会社であればあるほど、イレギュラーな対応はできなくなりますし、小さな会社であれば人手の問題でNGが出ることもあります。
会社としては労働力が減少し、管理コストが上昇しますので、社員一人一人の価値観やライフスタイルを理解しようとする社風かどうかが鍵となります。
有給休暇は体を休めることが目的なので、1日単位で取得することが原則です。
ただし、会社として、半日単位・時間単位で取得できる旨が規定されているのであれば、1日単位以外で取得することも可能です。
半日単位の有給休暇は「半休」などと呼ばれ、多くの会社で導入されています。
丸一日休むことが難しくても半日なら…という方は多いのではないでしょうか。
時間単位有休はもっと柔軟で、1時間だけ早く退社することも可能です。
こちらは半日単位と違い、導入している会社はぐっと少なくなります。
労働組合などと協定を結ぶ必要があり、管理が煩雑になることが理由として挙げられます。
日によって、1時間・2時間と取得時間を調節できますから、かなり柔軟な働き方になりますよね。
ただし、残業体質の会社(固定残業代が支払われているなど)で乱発すると、周囲の反感を買う可能性もありますので、業務量の調整については上司や同僚とよく話し合った方がいいでしょう。
いずれにしても、周囲に取得している人がいないが実は規定があった、ということが考えられますので、会社の人事担当・労務担当などに聞いてみた方がいいでしょう。
直属の上司などは、会社の規定に疎いこともありますので、注意が必要です。
時短勤務や1日単位以外の有給休暇は、周囲の目が気になってしまい気疲れしてしまうこともあります。
しかし、フレックスタイム制ならその心配はありません。フレックスタイム制とは、始業終業の時刻の決定を労働者に委ねるもので、働かなくてはいけない時間は「1カ月で160時間」などと決定されます(1カ月を超える単位にすることも可能ですが、あまり一般的ではありません)。
コアタイムと呼ばれる、「必ず勤務しなくてはいけない時間帯」が設定されることが多いですが、コアタイムさえ勤務すれば1日に何時間働くかは完全に自由ですので、妊娠希望者の通院や所用に対応できます。
有給休暇と違い、別の日に長く働くなどで調整することになりますから、労働力を減少させていることにはならず、周囲の目が気になることもないでしょう。さらに時短勤務と違い、月単位で決められた時間を勤務すれば、給料が減ることもありません。
社員にとってはメリットだらけのフレックスタイム制ですが、未導入の会社が数人の事情のために導入することはまず考えられません。
妊娠希望者や、プライベート重視の働き方をしたいと考える方は、転職の際にフレックスタイム制を導入しているかどうかを確認してみましょう。
《 監修 》
木幡 徹(こはた とおる) 社会保険労務士
1983年北海道生まれ。大企業向け社労士法人で外部専門家として培った知見を活かし、就業規則整備・人事制度構築・労務手続きフロー確立など、労務管理全般を組織内から整える。スタートアップ企業の体制構築やIPO準備のサポートを主力とし、企業側・労働者側のどちらにも偏らない分析とアドバイスを行う。
▶HP https://fe-labor-research.com/