【医師監修】不妊治療: 子宮卵管造影検査 、卵管通気検査、卵管通水検査について
卵管の検査とは?【監修:洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医】
卵管は子宮の左右から伸びる細い管で、卵巣から排卵した卵子を取り込んだり、精子が通ったり、また受精卵が通ったりします。
卵管が詰まると精子や受精卵が通りにくくなって妊娠しにくくなります。
卵管の検査は、卵管に詰まりがないか(卵管狭窄や卵管閉塞など)、きちんと通っているかどうかなど、卵管の状態を確認する検査です。
どんな検査があるの?
卵管が通っているかどうかを調べる検査には、子宮卵管造影検査、卵管通気検査、卵管通水検査があります。
このうち卵管の通過性が最も正確に分かるのは子宮卵管造影検査です。
子宮卵管造影検査の正確性は7割程度といわれています。
子宮卵管造影検査とは?
子宮と卵管に造影剤を流し、レントゲン写真を撮影して、子宮と卵管の様子を確認する検査です。
検査は、膣から子宮へと細いチューブを入れ、そこから造影剤を注入して、子宮に造影剤を行きわたらせます。
造影剤は子宮から卵管を通って、卵管の先からおなかの中(骨盤腔内)へと流れていきます。
その一連の様子をレントゲンで透視して観察します。
通常、造影検査の後に普通の腹部レントゲン写真を撮って、造影剤の骨盤内への広がりを評価します。
油性の造影剤を使った場合には翌日に、水性の造影剤を使った場合は、当日15〜30分後に撮影します。
検査で使った造影剤は、時間が経つとおなかの中で自然に吸収されていきます。
検査でどんなことが分かるの?
子宮の大きさや形、左右の卵管に詰まりや癒着がないかなどが分かります。
子宮の形が通常と異なる子宮奇形が見つかる場合があります。
[子宮卵管造影検査の画像]
レントゲン画像では造影剤が白く写ります。
子宮から卵管へと造影剤が流れ、両方の卵管が通っているのが確認できます。
(画像提供:洞下由記先生)
検査後は妊娠しやすくなることも
子宮卵管造影検査は卵管の通過性を確認するだけでなく、卵管の洗浄にもなります。
そのため卵管の詰まりが軽い場合は、この検査をすると卵管の通りがよくなることがあり、検査後に妊娠しやすくなるといわれています。
卵管通気検査・卵管通水検査とは?
卵管通気検査は、卵管にガスを一定の圧力で入れ、ガスが卵管から腹腔に出ていくときの圧力を測定して、詰まりがないかどうかを確認する検査です。
卵管通水検査は、卵管に生理食塩水を流して、経膣超音波検査で詰まりがないかどうかを確認する検査です。
いずれの検査も子宮卵管造影検査より得られる情報が少なく、左右どちらの卵管に詰まりがあるのかまでは確認できません。
レントゲン撮影ができない施設で行われているほか、アレルギーなどで子宮卵管造影検査の造影剤が使えない場合にも行われることがあります。
卵管の詰まりが軽い場合であれば、卵管通気検査・卵管通水検査で詰まりが解消される場合もあります。
検査はいつ行いますか?
卵管の検査は、月経が終わってから排卵までの間(低温期)、妊娠の可能性がない時期に行います。
また、クラミジアに感染している場合には、その治療が終わるまでは卵管の検査は受けられません。子宮頸部にあるクラミジアが検査によって子宮内や卵管、おなかの中まで運ばれてしまうからです。
卵管の検査は痛くないですか?
卵管の検査では膣から子宮内へとチューブを入れるので、そのときに軽い痛みがあるでしょう。
子宮卵管造影検査では、造影剤を流すと子宮が重い感覚になることがあります。造影剤が卵管へと流れていくと、卵管が通っていれば軽い痛みで終わりますが、卵管が詰まっていると子宮の中の圧力が高くなって強い痛みを伴うことがあります。
また、子宮内膜症や子宮筋腫があると造影剤を注入しても子宮が広がらず、痛みを感じる場合があります。
痛みは個人差が大きいものです。心配な人は事前に痛み止めを処方してもらうといいでしょう。
《 監修 》
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洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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