2020.12.07
不妊治療においては、タイミング法といって、妊娠しやすい時にセックスをするように「指導」されることがあります。
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また、禁欲期間が必要であり、してはいけない日と、しなければいけない日を指定されることもあります。そもそも、セックスは自律的・自発的でプライベートなもの。
しかし、治療という名目で、このようなことを繰り返していくと、セックスを義務としか思えなくなったり、プレッシャーに感じてしまったりすることで、セックスレスになるカップルも多くみられます。
妊娠を希望している場合、排卵日に合わせてセックスをしなければいけないと焦る気持ちが出てしまうのは仕方がないことです。
しかし、プレッシャーから気持ちが乗らない時に、治療の一環として無理にセックスを求めてしまうことは、二人の関係に良い影響を与えません。また、妊娠することばかり考えていると、ストレスからイライラを相手にぶつけてしまい、不仲になってしまうことも少なくありません。
不妊治療をしていても、なかなか子どもを授からないと、焦りや治療の成果を求める気持ちが強くなってしまい、二人の不妊治療に対する気持ちがずれていくこともあります。
何となくその空気は分かりつつも、分かるからこそ話題にできずに、ぎくしゃくしていき、セックスを義務と感じてしまうこともあるでしょう。そのような時は「したいと思った時がベストなタイミングであり、妊娠しやすい時」と考え、あえて排卵日などにこだわらないでおきましょう。
もちろん、体外受精などで厳密な管理が必要な時もあります(自分たちが望めば)。
しかし、不仲になってしまうほどストレスをためながら取り組んでいる治療は何のためでしょう。
そのように感じたならば、関係を再構築する機会が必要です。二人でお互いの気持ちや治療の方針について話し合い、もう一度気持ちをリセットしましょう。
二人のコミュニケーションを円滑にすることは、不妊治療にとっても大切です。パートナーと日常の会話を楽しみ、自然なボディタッチやハグ、キスができる関係を保てていますか?
これらを抜きにして、一足飛びでセックスレスを解消するのは困難ですから、まずは日常のコミュニケーションを密に取ることから始めてみましょう。
日々の生活に流されがちですが、パートナーに関心を持つこと、感謝の気持ちを伝えること、尊敬の念を忘れないことは、コミュニケーションを取るうえで重要です。
ずっとセックスをしていないと、いざセックスをしようとしてもなかなかその気にならず時間がかかり、それがストレスに感じることもあります。慣れないうちは、同じ時間に就寝するなど、なるべく自然な形でセックスが行えるよう環境づくりを行いましょう。
不妊治療では、パートナー以外の第三者から心理的サポートを受けにくい傾向があり、なかでもセックスに関する事柄は他人には話しにくく、また当の相手であるパートナーがストレス源になっていることもあります。
大切なのは、どちらか一方だけが頑張るのではなく、パートナーとの間で「子どもがほしい」という気持ちを共有することです。
そのためにはまず、お互いに信頼し合える関係を取り戻すことが重要です。
「セックスしたい」
「子どもがほしい」
という自分の気持ちを、相手を責めずに素直に伝え、安心して体を預けられるような関係を取り戻すことから始めましょう。
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《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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