2022.02.10
妊娠初期 の時期(妊娠2カ月目/妊娠4週目以降)になると「妊娠したかな?」という兆候が表れ始めます。
生理が順調な方は、生理予定日から1週間以上遅れていると、妊娠の可能性を考えるでしょう。
妊娠検査薬は 妊娠初期 である妊娠4週目ごろ から反応が出るようになりますが、排卵日がずれていたりするとまだ反応が出ないこともあります。
陰性反応でも生理がまだ来ないようでしたら、再度妊娠検査薬で検査するか、産婦人科の受診をおすすめします。
また、健診から出産まで同じ病院にするのか、里帰り出産するのかなど、出産を見据えてかかりつけ医を決めると良いでしょう。
初診で受診する際は、妊娠検査薬の結果や最終生理開始日、生理周期などを聞かれます。記録のある人は基礎体温表なども持参しておくとよいです。
お腹の状態を確認するので、脱ぎ着しやすい格好のほうが、診察がスムーズに行えます。
お母さんの身体には、基礎体温の高温期が続くなどの変化が表れます。
高温期は通常、排卵ごろから13日間ほど続きますが、14日以上続くようなら妊娠の可能性が高くなります。
身体の中に女性ホルモンがどんどん分泌され、その影響で、倦怠感や、眠気が出て来ることもあります。
黄体ホルモンの分泌などにより、ホルモンバランスが崩れることによって5週~6週ごろからつわりが始まる人もいます。
起床時の空腹感から胃がムカムカする、モーニングシックネスといわれるつわりが一番多い時期といわれています。つわりは個人差があり、食べないと気持ちが悪くなる「食べつわり」の人もいます。
妊娠中は食べすぎても全然食べることができなくても良くなく、体重制限を気にするお母さんもいると思いますが、まだこの妊娠初期の時期は、お母さんのとった栄養やカロリー量が赤ちゃんの成長に直接影響することは少ないので、空腹を満たす食べ物を工夫するなどして、体重が増加し過ぎないように気を付けましょう。
疲れた時や眠い時は、「無理しないで」という赤ちゃんからのサインだと思って身体を休めましょう。
その他、ホルモンバランスが乱れることで肌が乾燥してかゆみが生じることや、ふきでものや、シミが増えるなどの症状が出る人もいます。
また、腸が緩んだり、大きくなった子宮で腸が圧迫されたりすることにより便秘になることもあります。
お母さんが妊娠4~20週に初めて風しんに感染した場合、お腹の赤ちゃんが難聴や白内障、緑内障、心臓疾患などを 引き起こすことがあります(先天性風しん症候群)。
子どものころ 、風疹にかかったことがなかったり、かかっても免疫が十分になかった場合、注意が必要です。
お父さんが感染しても、妊娠中のお母さんにうつ してしまうこともあるので、夫婦で確認しておきましょう。
母子検診で抗体が低いと判明した場合、妊娠した後では予防接種を受けることができな為、一緒に住む同居者は予防接種を受けることをオススメします。
県によって抗体検査は無料で受けることができたり、割引がある場合がありますので、自身の住まいの情報を確認しましょう。
② トキソプラズマ症
トキソプラズマという寄生虫によって引き起こされる感染症で、健康な成人が感染した場合、軽い風邪のような症状、または全く症状が出 ない人もいます。
トキソプラズマは、豚や羊などの肉、そして土や猫の糞などに存在しています。
妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、胎盤を通して 胎児が先天性トキソプラズマ症 に感染する可能性があり、感染すると、胎児の中枢神経系の発達に影響し、水頭症や大頭症や脳内石灰化などを引き起こし、死産や流産を生じる場合もあります。
肉類は十分加熱し、土や糞に触れる場合は、手袋とマスク を着用しましょう。
③リステリア菌食中毒
加熱していないナチュラルチーズや、肉魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなどで見られます。
妊娠中にリステリア菌に感染すると、流産したり、赤ちゃんが敗血症になってしまうこともあります。
① 飲酒
妊娠したら、ママの血液を介して赤ちゃんに栄養が届きます。そこで飲酒をしていると、アルコール成分がお腹の赤ちゃんに届いてしまうのです。
これは妊娠初期に限らず、妊娠時期全般にいえることですが、アルコール成分はお腹の赤ちゃんも中毒症状を起こしたり、発育の妨げになったりすることもありますので、アルコールフリーの飲料に代えて対応しましょう。
② 喫煙
喫煙はタバコに含まれる一酸化炭素の影響で赤ちゃんが低酸素状態になり、脳の形成が妨げられたり、発育が遅延する恐れがあります。
お母さん自身が我慢していても、周りに喫煙者がいる場合は、煙を吸っているのと 同じことです。
ご家族に喫煙者がいる場合には外で吸ってもらうなど協力してもらいましょう。
初期流産 の原因のほとんどは、染色体異常などにより受精卵が育たないことによるもので、流産の70%は妊娠初期に起こっています。
この場合はお母さんが安静にするなどの努力をしていても避けられないことが多く、お母さんのせいではありません。
妊娠初期 である妊娠4週目は、赤ちゃんが着床したばかりのころです。
赤ちゃんの大きさは、小さな点くらいですが、妊娠7週目ごろには12~14mmくらいになります。子宮は少し大きくなりますが、まだお腹の膨らみは外見に分からない時期です。
しかし、お母さんのお腹の中で赤ちゃんは、人間としての大事な機能を、ほぼこの時期に形成するとても重要な時期です。
妊娠7週目以降は、胎のう(赤ちゃんの袋)の中に胎芽(赤ちゃん)が確認され、心拍が確認できるようになります。
心拍が確認されると、流産の可能性がかなり低くなるといわれています。
なお、週数のずれが起こりがちな時期なので、計算上の週数通りに赤ちゃんの胎のうや胎芽が見えなくても心配し過ぎなくて大丈夫です。
体つきもCの字をしていた胴体が伸び、頭と胴体に分かれて2頭身になってきます。体の重要な器官や体つきは急速に成長し、赤ちゃんも活発に動き始めます。
しかしまだ小さいため、お母さんが胎動を感じられるのはもう少し先です。
妊娠2カ月は、体の機能に重要である、心臓、肝臓、腎臓、脳、胃、脊髄などの器官や神経が形成・分化され、赤ちゃんの原型となる体になっていきます。
また、この時期は薬の影響などを受けやすい時期です。
このころに危険性(催奇形性)の高い薬を飲むと、赤ちゃんに影響する可能性があるとされています。
日常的に 持病などで薬を飲んでいる人は、まずかかりつけ医に相談しましょう。
赤ちゃんに影響がないとされているお薬を処方してもらうことができますよ。
妊娠2カ月のころは、妊娠初期症状が表れ、お母さんが赤ちゃんの存在に気づき始めます。
まだ初期段階ですが、お腹の中では急速に赤ちゃんが成長する、とても大事な時期です。
お母さんの身体の状態を理解し、注意すべき点を知ることで不安を解消し、お腹の赤ちゃんが安定するまでの時期を乗り切りましょう。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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