2023.03.01
1. かぜ症候群とはこんな病気
2. かぜ症候群の原因と症状
3. かぜ症候群の検査でわかること
4. かぜ症候群の治療法と薬
5. かぜ症候群のホームケアと予防
図:炎症の範囲
原因のほとんどがウイルスの感染で、普通感冒(ふつうかんぼう/普通のかぜのこと)や、インフルエンザが代表的です。
多くの病気は悪寒、鼻水、のどの痛みなどのかぜのような症状から始まります。
かぜと診断された場合は特別な治療は必要でありませんが、かぜのような症状からはじまった別の病気は治療が必要となります。
こちらの記事ではかぜ症候群のうち、普通感冒(以下、かぜと言います)について説明します。
かぜは、鼻水・鼻づまりのような鼻症状が主体で、のどの痛みなどもあります1)。
頭痛や倦怠感などの全身症状は軽いとされます1)。
かぜは自然に治る病気ですが、特に子どもは症状をこじらせてしまう恐れがありますので、発熱や呼吸、食欲などで気になることがあれば医師の診察を受けましょう。
原因となるウイルスは200種類以上存在し、ライノウイルス、コロナウイルス、📖RSウイルス、📖アデノウイルス、パラインフルエンザウイルスなどがあります2,3)。
侵入してきたウイルスに対する体の防御反応として、鼻やのどの粘膜に炎症が起こります。
ウイルスに感染してから1~3日の潜伏期間を経て、発熱、のどの痛み、せき、鼻水・鼻づまり、倦怠感、嘔吐、下痢といった症状が現れます2,3)。
一般的な経過は、のどの痛みから症状が始まり、微熱が出て、鼻水が出ます。
そしてせきとたんが出て、発症から7~10日、長くても2週間くらいで自然に治っていくケースがほとんどです2,3)。
しかし、乳幼児は体の発育が未熟なため、鼻水、たんなどをうまく処理することができずに、気道に分泌物がとどまるなどして呼吸が苦しくなることがあります2,3)。
急性中耳炎、急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)を合併することもあります3)。
かぜを診断するための特別な検査法はなく、通常、医師がお子さんの症状や経過から診断することが多いようです。
細菌の感染かどうかを区別するために血液検査が行われることもあります2)。
ほとんどの場合、症状が出てから7~10日、長くても2週間ほどでよくなりますが、特に次のような状態の時は小児科を受診しましょう2,3)。
・2歳未満の乳幼児4)
・高熱がある、または発熱が2~3日以上続く。
・呼吸が苦しそう。
・せきが1週間以上続く。
・元気がない、ぐったりしている。
・食事やミルクを受け付けない。
・発熱とともにけいれんを起こした。
など
医療機関ではお子さんの年齢と症状、他の病気の有無などに応じて、📖解熱鎮痛薬、📖鎮咳薬、去痰薬、気管支を広げる薬、鼻水を抑える📖抗ヒスタミン薬などが処方されます。
なお、かぜはウイルスが原因なので、抗菌薬は無効となるため必要ありません。
乳幼児は1年のうち5~8回ほどかぜをひくと言われており、保育園児の場合は毎月のようにかぜをひきます。
1回のかぜで1~2週間症状が続きますが、クリニックを受診し、かぜかそれ以外の病気かを区別してもらうのもよいでしょう。
かぜの可能性が高ければ、薬よりホームケアが重要です。
ホームケアは、子どもの安静と保温、水分摂取、栄養補給を心がけます2,3)。部屋を適切に加湿するのもよいでしょう。
お風呂に入れるかどうか迷うでしょうが、子どもの機嫌や食欲に問題がなければ、入浴は害にならないとされています2)。
熱があるときは、水で濡らしたタオルやガーゼを首筋や脇の下に当てる方法もあります2,5)。
その付近は皮膚から浅いところに動脈が通っていて、冷えた血液が全身を巡るため熱を下げるのに効果的です。
鼻水は、子どもが自分で鼻をかめるようであれば左右片方ずつ、ゆっくりとかむようにします。鼻をかめない子どもは、保護者が吸い取ってあげましょう2,3)。
せきがひどいと夜に眠れなかったり、体力を消耗したりします。
せきは、異物を体の外に出すための反応なので、特にたんが絡むせきを無理に止めると、排出するはずの痰が体内にとどまることになります。
医師の指示のもとで適切にせき止めを使用しましょう。
下痢や嘔吐があるときは、経口補水液などで水分を補います3)。
下痢の場合お尻が汚れやすいので、やさしくふき取って清潔を保ちましょう。
かぜを予防するには、普段からの手洗いと、人混みを避けることが大切です。うがいの有効性については、水によるうがいが、かぜの予防に効果的だとする研究結果があります6)。
『参考資料』
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。
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