『 内服用電解質剤 』ってどんな薬?子ども(小児)の処方箋:水分や電解質を補う薬【医師監修】

2022.03.31

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内服用電解質剤 ってどんな薬?【監修】松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

季節を問わず、感染性胃腸炎(いわゆる「おなかの風邪」)や食中毒などにかかると子どもが下痢をしたり吐いたりすることがあります。
また、冬にはインフルエンザなどに感染して高熱が出ることがあります。

 

これらの症状は、ウイルスなどと戦う体の防御反応と言えますが、下痢や嘔吐、高熱による発汗と同時に、水分と「電解質(イオン)」も排出されるため、脱水症の恐れがあります。

 

電解質(イオン)とは難しい言い方ですが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ミネラルのことを指していると考えてよいでしょう。
電解質はそれぞれが協調して体内で様々な働きをしており、どれかが足りなくても多過ぎても、細胞や臓器の働きに支障をきたします。

 

💡特に乳児は、下痢や嘔吐の程度にもよりますが、脱水症になりやすいとされています。
💡脱水症になると尿の量が減ったり、ぐったりとしたりしてきます。

 

医療機関では脱水症の治療として、電解質を含む液を点滴することがありますが、それを飲み薬で行おうというのが内服用電解質剤です。

 

医療品とは別の、脱水症に対する製品(食品)「経口補水液」

軽症~中等症の患者さんが対象で、水分、電解質、糖分が腸から吸収され、水分を補給するとともに電解質バランスを整えます。

医薬品とは別に、軽度から中等度の脱水症に対する水と電解質の補給のための製品(食品)として「経口補水液」も発売されています。

処方箋なしにドラッグストアなどで購入できます。

 

内服用電解質剤は顆粒を水かぬるま湯に溶いて飲ませますが、経口補水液にはゼリータイプもあるので、吐き気があって一度にたくさんの液体を飲めないお子さんに無理なく与えられるかもしれません。

内服用電解質剤と経口補水液のどちらが適しているか、医師に相談して上手に使い分けましょう。

軽症の下痢の場合は、水、お茶、スポーツドリンクでもよいです。

ただ、スポーツドリンクは経口補水液と比べて電解質の濃度が低い一方、糖分の濃度が高いため、脱水症には経口補水液の方が好ましいとされています1)

 

この記事では、子どもに使われる内服用電解質剤を紹介します(2022年時点)。
薬を使い始めて何か気がかりなことがあれば、医師、薬剤師に相談しましょう。

 

内服用電解質剤が処方される病気

内服用電解質剤の種類

ソリタ-T配合顆粒(塩化ナトリウム/塩化カリウム/無水リン酸二水素ナトリウム/クエン酸ナトリウム水和物/炭酸マグネシウム)

<薬の形状>
顆粒
<特徴>
電解質を補給する薬剤です。
成分の含有量の違いにより「配合顆粒2号」と「配合顆粒3号」の2種類があります。
<注意>
ソリタ配合顆粒の成分(1包4.0gを水100mLに溶解後の電解質濃度)2,3)
[2号]
Na+ 60, K+ 20, Mg2+ 3, Cl- 50 mEq/L, 白糖3.08g, ブドウ糖0.16g
[3号]
Na+ 35, K+ 20, Mg2+ 3, Cl- 30 mEq/L, 白糖3.42g
1包(4g)を水または、微温湯100mLに溶かします。
小児は1回20-100mLを1日8−10回(2−3時間毎)に与えます。
<投与時の注意>
乳幼児(0~6歳)は最初20mL投与した後は、30−60分後嘔吐のないことを確認した上で残りを投与します。
粉末の状態のまま与えたり、または高濃度液(水が少ない)で服用しないように気を付けましょう。

 

 

『参考資料』

1) MSDマニュアル家庭版.
(2022年1月5日閲覧:小児の脱水 – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版 (msdmanuals.com)
2) ポケット医薬品集 2016年版 白文舎
3) ソリタ-T配合顆粒2号添付文書
(2022年1月5日閲覧:https://www.yoshindo.jp/db/search/detail/?prod_id=556

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。

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