はぐふる対談vol.3「20代と30代女性の体にどのような変化があるの?」

2024.10.11

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濵脇文子先生に聞いた「20代と30代女性の体にどのような変化があるの?」

近年、30歳を過ぎてから結婚する方が増え、高齢出産への関心も高まっています。
以前、📖妊娠と排卵:排卵の仕組みとは?妊娠に卵子の数は影響ある?の記事で、年齢を重ねると卵子の数が減少するお話をしていただきましたが、実際に日常生活の中で体の変化に気づくのは難しいものです。そこで今回は、「20代と30代で女性の体にどのような変化があるのか?」というテーマで、濵脇先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

濵脇
そうですね。
まず、30歳になったからといって、急に20代の頃と劇的に変わるわけではありません。
今回は妊娠出産に関わる、「性・生殖器」と「体」の二つのポイントでお話させていただきますね。

20代と30代の違い:性・生殖器の観点から

濵脇

卵子の数については、胎児の時、つまりお母さんのお腹の中にいるときが卵子の持ち数の最高値で、そこから徐々に減少していきます。
卵子の数は決して増えることはないため、年齢を重ねるにつれて減少し、20代と比べると30代では卵子の数が少なくなります。
また、妊娠には、月経があって周期が安定していることなども大事になるのですが、これには女性ホルモンが関係してきます。
女性ホルモンが最も活性化するのは20代後半といわれており、その後年々緩やかに下降していくんですね。
生殖機能の低下により、月経の周期が狂ったり、無排卵になったりすることもあります。年齢による大きな違いはここですね。
なお、20代でも安定しない方がいらっしゃいますし、個体差もあります。

 

――ホルモンバランスが崩れると、月経はどのような変化が現れるのでしょうか。

 

濵脇

生理不順の一例として、月に2回ぐらい出血したかと思ったら、そのあと3カ月月経が来ない。
そして大量出血するというような乱れ方をする方もいます。
ホルモンは自律神経と関係してきますので、30 代になると、前より仕事が忙しくなったり、難しくなったりと、疲労とストレスが増えることで生理が来ない月があることもあります。
また、年齢的に早く妊娠しなければならないというプレッシャーも相まって…といった方が多い印象です。

――確かに、さまざまなストレス環境がありますよね。

 

濵脇

本当に難しいですね。
いろいろな要因が複雑に絡み合っているのを感じます。
先ほど卵子の数についてお話しましたが、最近では、血液検査などでも卵子の数を調べることができるようになりましたので、いつか子どもが欲しいと思っている方は、一度検査をして自分の体を調べておくのもいいと思いますよ。

20代と30代の違い:体の観点から

濵脇

性と生殖も体の一部ですが。“体”そのものもポイントになってきます。
特に、出産後の子育て中に実感する方が多いと思います。
30代になると生殖だけでなく、自身の体を維持するための体の機能や筋肉が年齢とともに低下し、代謝も落ちます。

 

――けがが治りにくくなるイメージがあります。

 

濵脇

そうですね。
20代と30代を比較した場合は、やはり20代の方が生殖機能、身体機能ともに高い能力を持っています。
けがもすぐ治りますよね。
日本は結婚してから子供を産む方が多いので、どうしても出産年齢が上がりがちです。
子どものために一生懸命努力していても体力が追い付かず、困っているという方も多く見かけます。

20代と30代の違い:こんな良い点がある!?

濵脇

いまお話したように、30代から40代の子育ては体力の面で20代の頃より苦労することもありますが、人生経験が豊富な分、それが子育てに役立つこともあります。
金銭面でも、20代より余裕があることも多く、効率よくやりくりができることが多くなります。
なので、30代で出産する心構えとしては、自分が思っている以上に動けなくなる可能性もあることを頭に入れて、サポートしてもらえる機関や施設などを調べておくのがよいと思います。
それらを上手に活用して体力面も補えると良いですね。

体を動かす重要性について

濵脇

近年在宅ワークの方も増えていますし、日常的にも、下半身の筋肉をあまり使わない傾向があります。
ずっと座っていると、筋肉が衰えたり、可動域が制限されたりすることが多くなります。
動かさない部分は硬くなりやすいため、関節などは普段から意識的にケアが必要です。

昔は和式トイレを使っていたことで、自然と股関節を広げる姿勢をとっていましたが、現代ではそのような姿勢をとることは少なくなっています。
そのため、意識的に運動をすることが非常に重要です。

 

――確かに、昔は和式トイレが主流だったため、足腰が鍛えられたのかもしれませんね。

 

濵脇

そうですね。
しかし、現在和式トイレはほとんど見かけなくなっかたと思いますので、妊娠中や産後は、医師の確認を受けた上で股関節を動かすスクワットを推奨しています。
股関節の筋肉を鍛えるだけでなく、可動域を重視することが重要です。子育ても体を使う作業がとても多いです。
例えば赤ちゃんを抱っこしたり、おっぱいを飲ませたり、寝かしつけたり、お風呂に入れたりする作業は、動物的な体の使い方が求められます。

なので、その時に備えて体をいろんな方向に動かせるようにしてみるといいですよ。
大きな筋群を使う運動をしておくこともおすすめです。
例えば、球技や水泳、陸上などさまざまなスポーツで、大きな筋肉を使うことに慣れていると、体の使い方が上手になるため、赤ちゃんを抱く際にも役立ちます。
子育てでは、本当に体力や筋力が重要です。

 

――日頃の運動が大事ということですね。

 

濵脇

そうなんです。やっぱり体力や筋肉はあったほうがいい。笑
回復ももちろん早いし、ポテンシャルがあるというか。赤ちゃんを抱くときも、手先だけでやろうすると、腱鞘炎になったり、体がすごく疲れたりします。
上腕二頭筋や前腕といった大きな筋肉を使ってバランスを取りながら抱っこすることで、負担を分散させることができ、けがや疲労を軽減します。

 

――体の使い方も重要なことがよくわかりました。無意識に体を使っていることも多いと思いますので、一度負担になる動かし方になっていないか考えてみたいと思います。

 

濵脇

お話したように、体の機能や筋肉は年齢とともに低下しますので、20代と30代では目に見えない変化もたくさんあることを理解し、一度普段から意識的にケアをしてみましょう。


 

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記事は、インタビューに基づいて作成されています。
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《 監修 》

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
    助産師・保健師・看護師。
    産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
    はぐふるアンバサダー。
     
    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
     
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