2024.04.08
超音波を利用しておなかの赤ちゃんの様子を画像診断するのが超音波検査(エコー検査)です。
厚生労働省の指針では、超音波検査は妊娠初期から23週の間に2回、24週から35週までに1回、36週から出産までに1回の合計4回が標準です。
しかし、日本ほど妊婦健診で超音波検査を行っている国はないと言われており、妊婦健診のたびに毎回、もしくは2回に1回の頻度で超音波検査を行っている産婦人科も少なくありません。
超音波検査は、おなかの赤ちゃんに会えるので妊婦さんにとっては楽しみな検査ですが、実はどのように見たらいいか分からないという人も多いようです。
そこで今回は、超音波検査の目的や超音波写真(エコー写真)の見方についてご紹介します。
内診台で、膣内に細い筒状のプローブ(超音波発振器)を挿入して行います。
子宮の内部を近くから観察でき、超音波の周波数が高いため近いところを鮮明に見ることができます。
胎嚢(たいのう)や胎芽(たいが)も映し出せるので、妊娠初期に行われる検査です。
写真右の中央にある白く縁取られた楕円が胎嚢
診察台で、おなかにプローブと呼ばれる装置を当てて行います。
おなかとプローブの間に隙間ができないようにあらかじめゼリーを塗ってから、プローブをおなか全体にすべらせます。
経腟超音波よりも周波数が少なくプローブが大きいので、広範囲に深いところまで見ることができます。
妊娠15週くらいからは経腹超音波検査が行われます。
通常の妊婦健診で行っている一般超音波検査では、主に次のようなことを確認することができます。
・子宮筋腫や子宮の奇形、卵巣嚢腫などのトラブルの有無
・子宮の大きさや子宮口の状態
・子宮頸管の長さ
・胎嚢の確認
・胎嚢や胎児の大きさ
・心拍
・内臓や骨格の発育や働き
・大きさや推定体重
・子宮内での姿勢や位置
・胎盤の位置や血液の流れ
・臍帯の状態や血液の流れ
・羊水の量
・妊娠週数や出産予定日
精密超音波検査は、赤ちゃんの先天的な形態異常などを確認するために行います。
基本的には妊婦さんや家族が希望した場合に行うものです。
その主なものは次の通りです。
wは週、dは日数を表します。
胎嚢は妊娠初期に赤ちゃんが入っている袋。妊娠初期はこのデータで赤ちゃんの成長を確認します。
赤ちゃんの頭からお尻までの長さ。妊娠11週くらいまでは赤ちゃんの発育の個人差がないため、この数字で妊娠週数を割り出します。
検査で測定した赤ちゃんの大きさから自動的に算出します。
測定誤差により多少のずれが生じることもあります。
赤ちゃんの頭の大きさ。
妊娠12週くらいからはCRLに代わって、妊娠週数を計算するデータになります。
太ももの骨の長さ。
赤ちゃんのおなか回りの長さ。
頭の大きさ(BPD)、太ももの骨の長さ(FL)、おなか回りの長さ(AC)から推定体重を計算します。
あくまで推定された数値なので±10%程度の誤差があります。
▼週数ごとの写真付き記事:後編もチェック!
《 監修 》
井畑 穰(いはた ゆたか) 産婦人科医
よしかた産婦人科診療部長。日本産婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医。東北大学卒業。横浜市立大学附属病院、神奈川県立がんセンター、横浜市立大学附属総合周産期母子医療センター、横浜労災病院などを経て現職。常に丁寧で真摯な診察を目指している。
▶HP https://www.yoshikata.or.jp/ よしかた産婦人科