2024.06.25
1. 流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん) とはこんな病気
2-1. 流行性角結膜炎 の原因
2-2. 流行性角結膜炎 の症状
Q:流行性角結膜炎と咽頭結膜熱(プール熱)の違いは?
3. 流行性角結膜炎 の検査でわかること
4. 流行性角結膜炎 の治療法と薬
5. 流行性角結膜炎 のホームケアと予防
角膜は黒目の部分のこと、結膜は、まぶたの裏と白目を覆っている粘膜のことです。
アデノウイルスは喉にあるアデノイドから見つけられたのが名前の由来です。
アデノウイルスはヒトの病気の原因として、目の感染、気管支炎、肺炎、咽頭炎、下痢症、出血性膀胱炎などをきたします。
まぶたのむくみ、充血、涙が出る、眼脂(目やに)などの症状が現れます。
左右どちらかの眼で発症し、その後もう片方も発症することもあります。
季節としては夏に多く、年齢では1~5歳を中心とする小児に多い疾患ですが1~3) 、大人も含め幅広い年齢で発症します。
家庭内などで感染が広がることから、「はやり目」とも呼ばれます。
原因となるアデノウイルスに特化した抗ウイルス薬はなく、治療は炎症を抑える点眼薬や、二次的な細菌感染に対して抗菌点眼薬が使われます。
アデノウイルスは感染力が強いため、接触感染の予防策が重要です。
アデノウイルスはA-Gの7種に分類され、多くの型が存在しており、型や種によって、様々な疾患の原因となることが知られています。
流行性角結膜炎は、主にD種と呼ばれるグループによる眼感染症です1,2) 。
A種:胃腸炎
B1種:肺炎
B2種:出血性膀胱炎
C種:肺炎
D種:結膜炎、角結膜炎
E種:肺炎
F種:胃腸炎
感染経路は接触感染で、ウイルスが付着したタオル、ドアノブ、スイッチなどに触れ、その手が眼に触れて感染すると考えられます。
消毒が適切に行われていないプールの水を介することもあります2) 。
アデノウイルスは感染力が強く、家庭、保育所、医療機関、職場などで広がることがあります。どの年齢でも発症します。
約1~2週間の潜伏期間を経て、充血、まぶたの腫れ、涙が出る、目やになどの症状が現れます1,3)。
耳の前のリンパ節がぐりぐりと腫れ、痛むこともあります。
その後、体内でウイルスに対する抗体ができ、2~3週間くらいで治癒します1) 。
新生児や乳幼児では、強い炎症になり、結膜の表面に偽膜(ぎまく)と呼ばれる薄い膜のような物質が張ることがあります(偽膜性結膜炎)2,3)。
偽膜は角膜に傷をつけたり、細菌感染を引き起こしたりする恐れがあります。
これは治療可能ですが、「まぶしい」「見えにくい」といった症状がしばらく残る可能性があります。
医師の診察のもと、炎症を抑える治療を受けることが大切です。
ウイルスに効く薬やワクチンはありません。
角膜炎や結膜炎の症状が強い時は眼科を受診しましょう。
ただし、「検査結果が陰性なので、流行性角結膜炎ではない」と断定できないこともあります2)。
検体にウイルスの遺伝子の一部があるかを調べるPCR検査が行われることもあります。
結膜・角膜の炎症が強い場合は炎症を抑えるステロイドの点眼薬が、ウイルスに続いて細菌感染がありそうなら抗菌薬の点眼薬が使われます。
点眼薬の使い方は、こちらの記事で説明しています。
流行性角結膜炎の治療では特に、点眼薬の先端に手指が触れないようにしましょう。
そこからウイルスが広がることを防ぐためです。
感染経路は接触感染ですから、家族に感染者がいる時に家庭内感染を防ぐポイントは次のようなことです2~4) 。
移植を受けたり、白血病などの病気がある人に感染すると重症化するので接触しないよう注意が必要です。
そのため、学童では、「結膜炎の症状が治まり、周囲への感染のおそれがない」と医師が判断するまでは、登園・登校ができません。
いつから登園が可能かは、主治医に確認しましょう。
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。
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