2024.10.15
また同じ学校や園の先輩ママの話を聞くのもお勧めです。
「このイベントの時には麦茶とお菓子が出るよ」といった学校や園側からは説明のない情報なども知ることができます。
また、子ども自身に、アレルギーで気をつけなければいけないことを理解させていくことも大事です。
遠足を例に挙げると、持っていくお菓子に気をつけていても、先生の目の届かないところで友達とお菓子交換をしてしまう場合もあります。
特に学校などでは、交換はダメというところもあるようですが、大切なのは家庭での説明です。
「遠足でみんながお菓子交換をするかもしれないけど、その場でお母さんは確認してあげられないから、もしどうしても交換したいものがあったら、それは遠足では食べないで持って帰ってきてお母さんに見せてから食べてね」といったように、交換自体を完全否定するのではなく、「してもいいけど、絶対家に持って帰ってきてね」といった具体的な対策を伝えるのも効果的です。
しかしこれは子どもの発達段階にもよります。
もらったらどうしても食べてしまうような年齢の場合は、学校の先生にも協力していただいて、お菓子交換は絶対にしないよう、見てもらう準備をしておくことも大事です。
献立をみながらこれは食べられる、これは食べられないということを把握し、食べられないものがあった場合には代わりのものを用意してもらうことが可能か、難しい場合、レトルトなど食べられるものを持参して、器を用意してもらってみんなと一緒に食事をすることはできるかなどを確認しておきます。宿泊行事に参加する機会がなるべく制限されないように、家庭、学校、宿泊先でどの程度の対応ができるのか、事前にしっかり確認・交渉しましょう。準備はもちろん大変ですが、子どもにとってはとても大切な行事になると思います。できることを周囲と協力しながら行っていけるのが理想です。
また、万が一事故が起こった時を想定して、旅行先の近くの医療機関を調べておくことも大切です。救急車を呼ぶまでではなくても、病院を緊急で受診したい状況になった時には、近隣の医療機関を把握していると安心できます。
そして子ども自身が自分の体調がおかしいと思った時には周りに伝えること、「様子がおかしいと思ったらすぐに先生に知らせてほしい」ということを友達にも伝えられるように練習するなど、家庭で準備をしておくことも大事なことです。
例えば子どもと買い物に行った時、「これは卵が入っているから気をつけなきゃいけないよね」、「これはこう書いてあるけど食べられるかな?」というように、買い物をしながら伝えると、クイズのように楽しみながら覚えてくれることもあります。
例えばお菓子売り場に行って子どもが食べられないものを食べたいと言った時に、「ここにこう(卵)書いてあるけど、いま買っても大丈夫かな?」などの声かけもできます。
低学年の子どもでも、漢字が読めなくても形を覚えるのは得意な子もいます。
卵という漢字の形を教えると、学習して形として覚えてくれることもあります。
毎日少しずつ伝えていくことによって子どもが自覚し、自分でも判断してくれるようになるかもしれません。
もちろん子どもだけで判断できない難しい表示の仕方をしているものもあるので、分からなかったら必ず大人に聞いてから食べるということもルールとして伝えるなど、日々の積み重ねはとても大事になってきます。
年齢によっては、子どもがひとりで自分のアレルギーについて周囲にきちんと説明できないこともあります。
発達に合わせてそれを説明できるようにしていく練習も必要ですが、食物アレルギーに関する携帯カードなどを作って持っておくという方法もあります。
カードに書くのは以下のような内容です。
・食物アレルギーがあります
・どんな食品にアレルギーがあります
・それに対してこういうお薬を持っています
・こういう状態になったらこうしてください
+保護者の連絡先など。
食物アレルギー携帯カードなどがあれば、子どもには、まずはたった1つのことを言えるように伝えます。
「カードを持っているよ」
それを言うことができれば、そのカードを大人は探すことができます。カードに書かれている内容が複雑なことでなければ、周囲の大人は対応方法がわかりますし、必要な時には救急車を呼ぶことなども可能です。
カードなどを作るのが難しい、どう作ったらいいかわからないという方はWebなどで検索してみましょう。
「食物アレルギーサインプレート」という専門の医療機関で配布しているカードなどもあるので、病院で相談してみてください。
「食物アレルギーサインプレート」で検索すると、サインプレートがもらえる医療機関の一覧を見ることができます。
食物アレルギーがあることによって行動範囲が狭まってしまわないように、事前準備をしっかり行っておきましょう。
お子さんが我慢するのではなく、みんなと同じ思い出づくりができ、楽しい学校・園生活ができるよう周囲の協力も得ながら準備してくださいね。
《 監修 》
長谷川実穂(はせがわみほ)管理栄養士
小児アレルギーエデュケーター(PAE:Pediatric Allergy Educator)
厚生労働科学研究班による『食物アレルギーの栄養指導の手引き2008/2011』検討委員、文部科学省『学校給食における食物アレルギー対応指針』作成委員など食物アレルギーとこどもに関わる分野で活躍中。
食物アレルギーのお子さんとご家族が、日々の生活の中でできるだけ不便なく、やりたいことができるよう一緒に考え、寄り添っています。
取材協力:リリナグ株式会社
保護者の方が、休日・夜間の子どもの症状にどのように対処したらよいのか、病院を受診した方がよいのかなど判断に迷った時に、小児科医師・看護師に電話で相談できるものです。
この事業は全国統一の短縮番号♯8000をプッシュすることにより、お住いの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けられます。
厚生労働省ホームページ:子ども医療電話相談事業(♯8000)について