2020.04.27
赤ちゃんを授かるためには、体が健康であるのはもちろんのこと、精神も健やかであることが大切です。
パートナーとの間に愛情が溢れ、互いに思いやる心があってこそ、妊娠に向けた準備が順調に整っていきます。
というのも、人間同士が肌で触れ合い、親密度を深めていくとオキシトシンと呼ばれるホルモンが作用して、精神が安定しリラックスしたり、ストレスに強くなったり、睡眠がよく取れたりと、様々な作用があることが分かっています。
オキシトシンは愛情ホルモンとも呼ばれており、 パートナーとの心の絆を深める働きを持っていますが、性行為そのものについても重要な役割を担っています。
オキシトシンはもともと、性ホルモンの一種なので、性行為によって男女ともにオキシトシンの分泌が高まります。そのため、心理的には男女の愛情を高める働きをするのと同時にオキシトシンが身体的にも作用して、妊娠しやすくなる作用があります。
たとえば、ヒツジで実験したデータによれば、オスの精巣にオキシトシンを注入すると、放出される精子の量が増え、同時に一つひとつの精子の活動が高まるという研究結果が報告されています。 1)
また、人間の女性の場合には、オキシトシンを注入すると、子宮の収縮の振幅が大きくなること(精子を吸入する力が高まること)が分かっています。 2) オキシトシンは、精子と卵子が出会い、受精することを助けているのです。
※引用文献
1)Nicholson,H.D., Parkinson,T.J.& Lapwood,K.R (1999) Effects of oxytocin and vasopressin on sperm transport from the cauda epididymis in sheep. J of Reproduction and Fertility,117,199-305.
2)Kunz,G.,Beil,D.,Huppert,T.& Leyendecker,G. (2007) Oxytocin-A stimulator of directed sperm transport in humans. Reproductive BioMedicine,14,32-39.
《 監修 》
山口 創(やまぐち はじめ) 教授
桜美林大学リベラルアーツ学群 教授、博士(人間科学)、臨床発達心理士。
オキシトシンを分泌させる触れ方、ストレスや痛みを癒す皮膚感覚について研究。
子育て、医療、セラピーなど多数の現場で研究・講演活動中。
『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『子育てに効くマインドフルネス』(光文社新書)など多数執筆
▶HP http://www2.obirin.ac.jp/y-hajime/