不妊治療における フーナーテスト (ヒューナーテスト)・頸管粘液検査とは?【医師監修】

2020.03.02

4

フーナーテスト(ヒューナーテスト)・頸管粘液検査とは?

フーナーテスト(ヒューナーテスト)とは、排卵の時期に性交渉を持って、精子を子宮に運ぶ通り道である頸管粘液の中に精子が存在するかどうかを調べる検査です。

性交後試験」とも呼ばれます。

また、頸管粘液検査は、排卵の時期に頸管粘液の状態を調べる検査で、性交渉を持たなくても検査を行うことが可能です。

排卵の時期にフーナーテストをするのは、どうして?

「頸管」とは、膣と子宮を結ぶ部分のことで、子宮の入り口部分に当たります。

この頸管から分泌される粘液を「頸管粘液」といいます。
普段は頸管粘液の分泌量は少なく、粘り気も少ないのですが、排卵が近づいてくるとホルモンの影響で分泌量が増え、粘り気を増します。
これは精子を迎え入れやすくするためです。
性交渉の後にフーナーテストを行うことで、精子が頸管を通って子宮まで届いているかどうかを確認できます。

フーナーテストでは何が分かるのですか?

フーナーテストを行うことで、以下のようなことが分かります。

 

■精子が子宮へ到達しているかどうか .

射精された精子が子宮頸管を通って子宮まで到達しているかどうかが分かります。
採取した頸管粘液に元気な精子が多数存在すれば、精子が子宮まで到達していると推測できます。

 

■精子の状態 .

射精された精子は、しばらくの間、子宮頸管に存在します。
しかし、元気な精子の数が少ない、全く見当たらない場合には男性不妊の可能性が考えられます。ただし、男性不妊かどうかは、正確には精液検査をしないと分かりません。

フーナーテストは、どのように行われるのですか?

排卵日の直前(当日の朝)に性交渉を持って、病院を受診します。

内診台で医師が頸管粘液を採取して、それを顕微鏡で観察します。
フーナーテストでは、特に痛みはないでしょう。

 

フーナーテストは、どんな人が受けるのですか?

基本の不妊検査の一つといえるので、基本的には自然妊娠を望む場合には受ける検査です。

 

しかし、性交後すぐに病院を受診するのが難しかったり、頸管粘液(おりもの)の量が少なかったりすると正しい診断ができないことがあります。また現在、フーナーテストについて統一された判定基準はありません。精子の状態については、一般の精液検査で評価できるという考えもあります。

こうしたことから、不妊検査として必ずしも浸透しているとはいえないのが現状です。

頸管粘液検査では何が分かるのですか?

排卵期には頸管粘液の分泌量が増えて、その粘度が高くなります。

頸管粘液検査を行うことで、頸管粘液の分泌量が十分かどうか、頸管粘液の粘度が高くなっているかどうか、また排卵期特有の羊歯状結晶が見られるかどうかを確認できます。
 
頸管粘液は、いわゆる「おりもの」のことです。排卵が近づくとおりものの量が増えるので、自覚する人もいるのではないでしょうか。

頸管粘液の量が少ないと妊娠しないのですか?

頸管粘液の量が十分でなかったり、粘度が十分でなかったりすると、精子が子宮へと入っていくことが難しくなってしまいます。

 
そのため、自然妊娠には、やや不利といえます。しかし、これだけが原因で妊娠できないということはありません。
 
頸管粘液の分泌が十分でない原因としては、女性ホルモンの分泌が不十分な場合や、頸管粘液を分泌する頸管腺の反応が鈍くなることなどが考えられます。
また、排卵誘発剤の一部の薬(クロミフェン)の副作用として、頸管粘液の減少があります。
頸管粘液の分泌量が少ない場合には、人工授精で妊娠を目指すことも選択肢の一つです。

《 監修 》

  • 洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医

    聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。

    不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。

    HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
     
    洞下由記先生の監修記事一覧(妊娠希望)
    📖妊娠希望に掲載中の記事

     

    【本サイトの記事について】
    本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。 Unauthorized copying prohibited.
    登場する固有名詞や特定の事例は、実在する人物、企業、団体とは関係ありません。インタビュー記事は取材に基づき作成しています。
    また、記事本文に記載のある製品名や固有名詞(他企業が持つ一部の商標)については、(®、™)の表示がない場合がありますので、その点をご理解ください。

この記事は役に立ちましたか?

ありがとうございます!フィードバックが送信されました。