不妊治療 で有休を「取りにくい」「承認してくれない」そんなときどうする?【社労士監修】

2020.04.06

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不妊治療で有休がとれないとき【監修:木幡 徹(こはた とおる)  社会保険労務士】

赤ちゃんを考え始めた方への柔軟な働き方としては、やはり有給休暇(以下有休)が取れるに越したことはないですよね!

周囲の同僚が当たり前のように取得しているのなら、特に気にせず取得できます。
しかしながら、「有休なんて都市伝説ですよね…?この世に存在するんですか…?」と、社員がその存在すら疑ってしまうくらいに有休が取れないブラック企業があるのも事実。

 

今回は、そんな企業とまではいかないまでも、「有休が取りにくい雰囲気」の職場や、「上司が有休を承認してくれない」場合にどうするかを考えてみます。

そもそも有休は「必ず取れるもの」です!

有休は法律で定められた労働者の権利であり、最低でも入社から6カ月間勤務した場合に10日間付与されます(フルタイム勤務で出勤率8割以上の場合)。

法律以上の措置として、入社時に付与する会社も多いです。
法律以上に付与する会社が多いにも関わらず!
絵に描いた餅として扱われるのが有休という存在!なんて不思議なのでしょう!!
勝手に盛り上がってしまいましたが、法律的な位置付けを踏まえて、「確実に取れるもの」ということをご案内いたします。

有休を取得するには届け出は必要だが、承認するというステップは必要ない

会社の運営上の問題、そして有休日数などの管理上の問題として、きっちりと有休の取得を届け出る必要はあります。

しかし、有休取得は当然の権利ですので、「承認」というステップは本来必要ないのです。
多くの会社で、有休の取得理由を添えて申請し、上司などの承認を得るというステップが存在しますが、形式的に申請承認のステップがあること自体は問題がないにしても、取得理由などによって申請が拒否されることはあってはならないことなのです。

 

労働基準法では、会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」においては、社員が希望する取得日をずらすことができるとされています(時季変更権)。
とはいえ「事業の正常な運営を妨げる場合」であると認められるには高いハードルがあり、一般的には単に人手が不足している等の理由だけでは、会社はこの時季変更権を使えません。

ここで本題!具体的に有休がとれない場合どう行動すればいいか

では具体的に、有休がなかなか取得できないときはどうしたらいいのでしょうか。

「単に有休が取りにくい雰囲気である」場合と、「上司が承認してくれない」場合の2つに分けて考えてみましょう。

 

<有休が取りにくい雰囲気である場合>

職場がとても有休を取る雰囲気ではない。
残念ながら、よくあります。
体調不良(それも高熱等に限られる)などで、ようやく認められるといった感じです。
これはもう、対処方法といっても「取るしかない」です!同僚の目を気にせず、とにかく有休取得を届け出て、休む。
これ以上何もありません。
おかしいのは、その職場の雰囲気の方なのです。
「自分は有休なんてほとんど取らないけど」と得意げに、嫌みを言ってくる同僚も出てくるかもしれません。
しかし、無視です。とにかく取る。
自分が職場の雰囲気を変える、くらいに思ってください。
もちろん、休暇中の業務について、引き継ぎ事項などはちゃんと整えておくことを忘れずに。有休取得を理由に人事評価を下げるのは問題ですが、引き継ぎをきちんとしないことで人事評価を下げることは会社側に問題ないですからね。

<上司が承認してくれない場合>

有休取得を上司が認めない。業務繁忙や人手不足、又は病気等のやむを得ない理由以外での取得を卑しいものとする思想の持ち主であるなど、上司の承認を得られずに有休を取得できない。やっぱり残念ながらよくあります。
ですが、前述しました通り、有休取得に承認というステップは不要です。
ある程度早めに届け出て、多少人手が薄くなったとしても業務の運営に重大な支障がないだろうと考えられるのなら、上司が認めない!とはっきり言ったとしても、とにかく「休む」
もしその日が、有休取得日ではなく欠勤として扱われるなら、違法性のある取り扱いと言えます。
「労基署に連絡して確かめてみます」くらいのジャブを言ってもいいかもしれません。
ただ、法律上「会社の時季変更権」はほとんど認められないにしても、「この日に休まれるとキツイな…」という日は実際あるのではないかと思います。
「別の日にずらせないか」と、会社からの「お願い」があったのならば、話し合いには応じた方がいいといえるでしょう。

 

少々勇気のいる行動かもしれませんが、行動しなければ何も変わりません。堂々と有休の取得を宣言しましょう。

《 監修 》

  • 木幡 徹(こはた とおる)  社会保険労務士

    1983年北海道生まれ。大企業向け社労士法人で外部専門家として培った知見を活かし、就業規則整備・人事制度構築・労務手続きフロー確立など、労務管理全般を組織内から整える。スタートアップ企業の体制構築やIPO準備のサポートを主力とし、企業側・労働者側のどちらにも偏らない分析とアドバイスを行う。
     
    HP https://fe-labor-research.com/

     

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