2022.06.22
≪以下の記事は2022年6月のものです≫
従来、体外受精や顕微授精などの治療は、健康保険が適用されない自費による治療でした。
その治療費は高額となることが多く、不妊治療に取り組むカップルにとっては大きな負担となっていました。
以前は「不妊に悩む方への特定治療支援事業」として、体外受精などの特定不妊治療にかかった費用の一部を助成し患者負担を軽減する制度(特定不妊治療支援事業)を設けていましたが、それでも治療によっては負担額が大きいものでした。
そこで国は、2022(令和4)年4月から不妊治療を保険適用することを決めました。
保険適用となったことにより窓口での負担は3割となります。
特定不妊治療支援事業自体は4月の保険適用に伴い廃止されますが、保険適用以前からの治療計画に支障が生じないよう、令和3年度から4年度※へと年度をまたぐ1回の治療については、経過措置として助成金の対象です。
※こちらは経過措置中の方に向けた助成制度です。
特定不妊治療費の助成とは、体外受精や顕微授精などの「特定不妊治療」を受けた場合に、費用の一部が助成される国が定めた制度です。
対象は、特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがないか、または極めて妊娠の見込みが少ないと医師に診断された、法律上の婚姻をしている夫婦です。
そして、治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦が助成の対象です。
この制度では、特定不妊治療を受けた際、1回の治療につき30万円まで助成されます。採卵を伴わない凍結胚移植の場合は、1回につき10万円までの助成となります。
通算の助成の回数は、妻の年齢によって変わります。
妻の年齢とは、初めて助成を受けたときの治療期間の初日となります。妻の年齢が40歳未満ならば助成は通算6回まで、40歳以上43歳未満ならば助成は通算3回までとなっています。(*1)
特定不妊治療のうち、精巣や精巣上体から精子を採取するための手術を行った場合には、上記のほかに1回につき30万円まで助成されます。
この制度では、助成の対象が定められています。
まず、特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがない、または極めて少ないと医師に判断された法律婚および事実婚の夫婦です。
そして、治療期間の初日において妻の年齢が43歳未満の夫婦が制度の対象です。
必要な書類をそろえて、期日までに自治体の窓口に提出します。
その後、審査が行われ、銀行振込などで助成金が給付されます。
提出先は自治体によって変わりますが、窓口は保健所や母子保健関係の部署などが多いようです。
直接、書類を窓口に持参するほか、郵送で受け付けているケースもあります。
東京都の「特定不妊治療費助成」を例に紹介します。
指定様式の申請書・証明書は、東京都のホームページからダウンロードできます。
東京都の場合、福祉保健局 少子社会対策部 家庭支援課 母子医療助成担当に郵送で申請します。
東京都は申請を受けてから約4カ月後に承認・非承認の結果通知を送付します。
承認の場合、結果通知の約1カ月後(*2)に、指定した口座に助成金が振り込まれます。
特定治療支援事業の助成の申請期限は、自治体によって異なります。
東京都では、助成の対象となる1回の特定不妊治療が終了した日が含まれる年度末(3月31日、消印有効)としています。
例えば、11月に治療が終了したら、翌年の3月末が申請期限となります。
神奈川県横浜市では、対象となる1回の特定不妊治療が終了した日の翌日から数えて60日以内(消印有効)を申請期限としています。
このように申請期限は自治体によって異なります。
期限を過ぎたら申請を受け付けてもらえないので注意が必要です。
また、郵送する際には「消印有効」と「必着」は違うので、間違えないようにしましょう。
体外受精にトライすることが決まったら、自治体のホームページなどをチェックして、早めに内容や申請期限を確認しておきましょう。
『参考資料』
厚生労働省:不妊に悩む方への特定治療支援事業
東京都:東京都特定不妊治療費助成
横浜市:横浜市特定不妊治療費助成
《 監修 》
菅原 直子(すがわら なおこ) ファイナンシャルプランナー
子育て世帯にかかせないお金知識を自治体の講座などわかりやすく解説。学生向け奨学金講座や新聞・雑誌等に教育費に関するコメント・執筆も。「子どもにかけるお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」メンバー。