2022.06.14
不育症の検査を受けることで、不育症になるリスク因子を特定することができる場合があります。リスク因子が分かれば適切な治療を受けることができ、出産につながることが期待されます。
この不育症の検査について、その費用の一部を負担する自治体の助成が広がっています。
不育症の検査を受ける場合には、自分が暮らす自治体に助成制度があるかどうか、確認してみましょう。
不育症検査の助成について、一つの例として、東京都の制度を取り上げます。(2022年4月現在)
東京都では、平成31年度から不育症検査助成事業をスタートさせ、令和2年1月から申請の受付が始まりました。対象となる検査を受けた場合、5万円を上限として、夫婦1組につき1回限り、助成を受けることができます。
以下の案件を満たしている人が対象です。
・子宮形態検査
・内分泌検査
・夫婦染色体検査
・抗リン脂質抗体
・血栓性素因スクリーニング(凝固因子検査)
・絨毛染色体検査
・先進医療として告示された不育症検査(令和4年4月1日時点で対象の検査はありません)
※「流産検体を用いた染色体検査」は令和3年度に先進医療と認められて助成の対象でしたが、令和4年4月1日以降は保険適用となり、助成の対象外です。
夫または妻が検査を開始した日のうち、どちらか早い日を基準として、1年間が対象の期間です。
その間に、対象となる検査を受診した際にかかった費用が助成の対象となります。
5万円を上限に助成します。
助成回数は夫婦1組につき1回に限ります。
検査終了日から6カ月以内に、申請書類をそろえて東京都福祉保健局少子社会対策部家庭支援課 不育症検査担当に郵送します。
少し料金は高くなりますが、普通郵便での不着事故などを防ぐために簡易書留や特定記録郵便などを利用した方がいいでしょう。
[申請に必要な書類]
・不育症検査医療費助成申請書(原本)
・不育症検査助成事業受診等証明書(原本)
・住民票の写し(原本)
・戸籍全部事項証明書(原本)
・申請書類を東京都が受け付け、書類を審査します。
・承認決定通知書が東京都から送付されます(申請から2〜3カ月)。
・助成金が指定口座に振り込まれます(通知から約1カ月後)。
自治体による不育症の助成は、年々広がっています。
埼玉県では、「ウェルカムベイビープロジェクト関連事業」として不育症検査費助成事業を行っています。対象となる不育症検査の費用に対して、2万円を上限に助成しています。
(2022年4月現在)
また、不育症の検査だけでなく、治療に対して助成を行っている自治体もあります。
福島県では、不育症と診断された人が妊娠した場合、国内の医療機関で行ったヘパリンを主とした不育症治療を対象に助成を行っています。
保険診療・保険外診療は問わず、ヘパリンを使用していれば併用する投薬等も対象になります。
1回の妊娠期間につき15万円までで、回数制限は設けていません。(2022年4月現在)
宮崎県では、不育症と診断された人が妊娠した場合、国内の医療機関にて行われる、ヘパリンまたはアスピリンを主とした不育症治療にかかる費用を助成しています。
1回の妊娠期間につき8万円までで、回数制限は設けていません。(2022年4月現在)
このように多くの自治体で、不育症の検査や治療に対する助成が広がっています。不育症かもしれないと気になった場合は、医師に相談して検査を受けるかどうか検討してはどうでしょうか。
『参考リンク』
東京都:不育症検査助成事業 (子育て支援>助成・給付>不育症検査助成)
福島県:不育症に対する支援のお知らせ
宮崎県:不育症治療費助成事業
Fuiku Labo(不育症の原因解明、予防治療に関する研究)
《 監修 》
菅原 直子(すがわら なおこ) ファイナンシャルプランナー
子育て世帯にかかせないお金知識を自治体の講座などわかりやすく解説。学生向け奨学金講座や新聞・雑誌等に教育費に関するコメント・執筆も。「子どもにかけるお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」メンバー。