『 高プロラクチン血症 』ってどんな症状?原因や診断、治療方法について【医師監修】
高プロラクチン血症とは【監修】洞下由記先生
プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、妊娠中や授乳中にたくさん分泌されるため、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれています。
このプロラクチンが過剰に分泌される状態を「高プロラクチン血症」といいます。
母乳が出ている間は次の妊娠をしないように、プロラクチンが分泌されて排卵や月経が起こらないようにする働きがあります。
ところが、妊娠や出産をしていないにもかかわらず、プロラクチンが多量に分泌されるケースがあります。すると排卵が起こらず、月経不順になったり、乳汁分泌が起こったりします。
ふだんは問題がないのに、夜間や強いストレスを感じたときだけプロラクチンが上昇するケースがあり、それを「潜在的高プロラクチン血症」といいます。
高プロラクチン血症の原因は?
高プロラクチン血症はプロラクチンが過剰に分泌されることで起こりますが、その原因ははっきりしていません。
強いストレスのほか、抗うつ剤や胃潰瘍の治療薬の副作用として高プロラクチン血症が起こることがあります。
また、甲状腺機能低下症の場合に高プロラクチン血症を起こすことがあります。
まれですが、脳下垂体に腫瘍があることが原因で高プロラクチン血症が起こる場合もあります。
高プロラクチン血症の検査、診断は?
血液検査でホルモン値を測ります。
プロラクチンは日内変動のあるホルモンで、睡眠時に上昇し、朝起きた後が一番低くなります。
また、食事や運動、ストレスでも上昇します。
潜在的高プロラクチン血症が疑われる場合は、ホルモン負荷試験(TRH検査)を行います。
TRHというホルモンを注射し、その前後でのプロラクチン値を比べて、潜在的高プロラクチン血症かどうかを判断します。
プロラクチン値が非常に高く(目安は100 ng/ml以上)、脳下垂体の腫瘍が疑われる場合には、MRI検査を行います。
高プロラクチン血症の治療は?
プロラクチン値を下げるため、薬による治療を行います。
また、薬の副作用で高プロラクチン血症が起こっている場合には、その薬の服用をやめると症状は治まります。
脳下垂体に腫瘍がある場合には、腫瘍が小さい場合は薬物療法、腫瘍が大きい場合には手術で摘出する治療があります。
《 監修 》
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洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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