2020.05.25
受精は、1つの卵子の中に1つの精子が入って、両者が1つになることをいいます。
この受精がうまく起こっていないことを「受精障害」といいます。
体外受精では、採卵した1つの卵子の上にたくさんの精子を振りかけて同じ容器で保管し、翌日に受精しているかどうかを確認します。
正常な受精では、卵子の中に1つの精子が入り、雄雌それぞれの遺伝子情報を持つ2つの核が見えます。
このときに、核が見えない、核が3つ見える(2つの精子が卵子に入っている)など、正常に受精していない場合、受精障害となります。
受精がうまくいかない原因ははっきりしませんが、加齢などで卵子の質が低下していること、精子に受精できる能力がなかったこと、また、両方に原因があることも考えられます。
[受精障害として考えられる原因]
・卵子の殻の部分(透明帯)が固くて、精子が入り込めない。
・卵子が十分に成熟していなかったために受精能力がなかった。
・精子の数が少なかった。
・精子に受精できる能力がなかった。
受精は体の中で起こっていることなので、受精したかどうかを確かめられる検査は、今のところありません。
現在は、体外受精で精子と卵子をいっしょにしても受精が起こらなかった場合に、初めて「受精障害」と分かります。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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