2020.06.01
妊娠12週未満の場合は「早期流産」、妊娠12週以降は「後期流産」といい、流産の90%は早期流産です。
妊娠22週以降は早産と呼びます。
腹痛や出血などの症状が全くないのに、おなかの中で胎嚢や胎児の成長が停止していることを「稽留(けいりゅう)流産」といいます。
また、おなかの中で胎嚢や胎児の成長が停止し、出血が始まっている状態を「進行流産」といいます。
妊娠検査薬で陽性になったり不妊治療の妊娠判定日に陽性であったりしたものの、胎囊が見える前に消えてしまったものは「化学(的)流産」と呼ばれていて、厳密には流産の回数には含まれません。
また、流産の一歩手前の状態のことを「切迫流産」といいます。
出血や腹痛がある状態を示します。流産ではなく流産の可能性がある状態を指します。
流産が起こる確率は、妊娠全体の約15%といわれており、女性が高年齢になるほど、流産する可能性は高くなります。
流産をしてしまうと、妊娠初期に仕事や運動をしたから流産につながったのでは……と自分を責めてしまう方がいますが、そうしたことは、まず関係ありません。
もともと赤ちゃんとして成長できない受精卵だったのです。
このほかの流産の原因としては、子宮の形態異常、ホルモンや免疫異常、血液凝固異常、感染症などが考えられます。
子宮外で妊娠が成立した場合も、胎児が育つことはできず、ほぼ早期に流産になります。
また、流産を3回以上繰り返した場合を「習慣流産」といいます。
2回流産した人が何の検査や治療もしないで、再度妊娠したときの出産率は80〜90%です。つまり、2回流産を経験した人の多くは運悪く自然淘汰の流産を2回引いてしまっただけで、不育症である率はそこまで高くありません。
また、3回流産した人が何の検査や治療もしないで、再度妊娠したときの出産率は50〜60%です。
3回流産後の4回目の妊娠となると、何もしないと出産できないと思う気持ちが強くなりますが、実際には半数は出産できています。
しかし、流産の時期によっても捉え方が変わりますので、流産を繰り返す場合には、不育症」の検査を受けることもいいでしょう。
流産の時期や進み具合によって、対処は変わります。
初期妊娠では、胎囊(または子宮内の内容物)が自然に出てくるのを待つ場合があります。
しかし、自然に排出されない場合には、子宮から内容物を取り出す子宮内容除去術(掻爬手術/そうはしゅじゅつ)を行います。日帰り、または1泊の入院で行います。
流産の後はおなが痛くなったり、出血したりすることがあります。
通常であれば、1週間程度で回復します。
子宮内容除去術から1〜2カ月後には生理が再開します。
病院で順調に回復していることを確認しましょう。
一般的に月経が2回来れば、次の妊娠を目指しても大丈夫です。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
洞下由記先生の監修記事一覧(妊娠希望)
📖妊娠希望に掲載中の記事