2020.06.08
精巣で作られた精子は、精巣上体から精管という細い管を通って精嚢や前立腺の分泌液と合わさりながら移動し、射精によって尿道から精液として排出されます。
このルートの途中が詰まってしまうのが閉塞性無精子症です。
精路が詰まる原因としては、精巣上体で炎症が起こる精巣上体炎、精巣(睾丸)の外傷、子どものころの鼠径(そけい)ヘルニアの手術によるものなどが考えられます。
非閉塞性無精子症の原因としては、何らかの理由で精子を作る機能(造精機能)が低下しているケースが考えられます。
また、先天性疾患のクラインフェルター症候群(性染色体異常が原因の病気)の場合、無精子症になることがあります。
ほかに、がんの化学療法を受けた場合なども考えられます。
男性の検査は精液検査を行います。
結果が良くなかった場合には、検査は1回だけではなく、何度か行います。
男性不妊に詳しい泌尿器科では、精液検査に加えて、問診、視診、触診、ホルモン検査、超音波検査などを行います。
場合によっては染色体検査を行うこともあります。
閉塞性無精子症であれば、精巣精子採取術(TESE)で精巣から精子を採取し、体外受精で妊娠を目指すことができます。
また、詰まった精管をつなぐ精路再建術という方法もあります。
非閉塞性無精子症の場合は、手術用顕微鏡を使って精子を採取する顕微鏡下精巣精子採取術(MD-TETE)により、精子が回収できる可能性があります。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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