2020.06.22
逆行性射精とは、本来は体の外に射精される精液が、それとは逆の膀胱側に射精されてしまう病気です。
通常であれば、射精のときには膀胱頸部が閉じて、膀胱側に精液がいかないようになり体の外に射精されますが、膀胱頸部が閉じないことで逆行性射精が起こります。
逆行性射精の場合、射精をしても射精液が出ない、または極端に少なくなります。
射精液に元気な精子がまざっていないとはいえませんが、自然妊娠は難しくなります。
逆行性射精は、糖尿病の末梢神経障害として起こることがあります。最近は若い年代でも糖尿病を患う人が増えているので、逆行性射精も増えているようです。
そのほかには、前立腺肥大症の前立腺手術の影響、事故などによる脊髄損傷、特定の薬によるものなどがあります。
しかし、原因が分からない場合も多いのが現状です。
逆行性射精は、射精しても精液が出てこない、または排出される液体の量が極端に少ないのが特徴です。
射精感があった後に尿を調べて、その中に精子が見つかれば、逆行性射精と分かります。
逆行性射精の原因を取り除いたり、薬物治療をしたりすることで治ることがあります。内服薬で改善しない場合は、膀胱の中から精子を回収して、人工授精を行う方法があります。また、TESE(精巣精子採取術)を行って精子を回収する方法もあります。
いずれにせよ、専門的な治療になるので、男性不妊を積極的に扱っている病院での治療が必要になります。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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