2022.08.20
子どもを欲しいと思ってから1年くらいしても妊娠しないときには、病院で相談してみましょう。
まずは、妊娠を妨げるような問題がないかどうか、調べてもらうといいでしょう。
しかし、いざ病院を受診しようと思ったとき、どんな病院に行けばいいのでしょうか?
不妊の検査や治療をする医療機関には、大きく分けて3つの種類があります。
それぞれの特徴をみていきましょう。
大学病院や総合病院は、いろいろな診療科がある大きな病院です。
入院施設があり、救急救命などにも対応しています。
[特徴]
・公立、私立、大学付属などがある
・産科や多くの診療科がある
・地域に1カ所は必ずある
・入院、救急対応があり、もしものときに安心 など
[メリット]
・他の診療科と連携がとりやすい
・男性の治療を行っている場合がある(泌尿器科)
・子宮筋腫などの手術に対応できる
・不育症外来など特殊外来がある
・持病などがある場合、妊娠の相談がしやすい
・最新設備などの医療設備が充実している
・出産までみてもらえる など
[デメリット]
・診察のたびに担当医が変わることがある
・土曜や夜間の診療はしていないことが多い
・待合室が妊婦さんと同じことがある
・待ち時間が長いことがある
・診療時間が短いことがある
・紹介状がないと初診時に特別料金がかかる場合がある など
地域で開業している産婦人科の医院(クリニック)。
出産を扱っている施設では入院設備がありますが、駅前の外来診療のみのクリニックもあり、規模はさまざまです。
[特徴]
・出産を扱っている施設は24時間体制で入院施設がある
・産科と婦人科の両方を扱っている
・クリニックにより力を入れている分野が異なる など
[メリット]
・自宅や会社の近く、通勤途中などで見つけやすい
・同じ医師にみてもらえることが多い
・まずは相談しやすい
・不妊症以外もみてもらえる など
[デメリット]
・検査後の治療内容によっては大きな病院に紹介される
・不妊治療に力を入れているかは、施設によって差がある
・体外受精までは行っていない施設が多い
・待合室が妊婦さんと同じことがある など
不妊治療についてくわしい医師がいて、体外受精・顕微授精など専門的な治療ができる施設です。
[特徴]
・不妊治療を専門としている
・医師は専門知識を持っている(生殖医療専門医などの資格)
・施設の規模はさまざま など
[メリット]
・体外受精・顕微授精などの高度な治療が受けられる
・胚培養士など医師以外の専門家がそろっている
・体外受精・顕微授精などの実施数が多い
・男性の外来を行っている場合もある
・精神面でのケアなど補助医療が充実している
・土日や夜間など診療時間が柔軟なことが多い など
[デメリット]
・都市部に集中している
・待ち時間が長い場合がある
・自費診療が多く、料金の負担が大きい場合がる
・妊娠後の妊婦健診は転院が必要なことが多い など
「まずは検査だけ」という場合は、自宅や会社の近くにある産婦人科医院(クリニック)で「妊娠を望んでいる」ということを伝えて、検査をしてもらうといいでしょう。
妊娠を希望している・していないに関わらず、子宮がん検診は必ず定期的にしましょう。
子宮頸がんは若年女性に多いがんです。
子宮頸がんの治療は子宮全摘ですが、早期に見つかれば一部分の切除で子宮を残すことが可能です。
がん検診といっしょに超音波検査を行って、子宮や卵巣の形態異常がないかどうかも確認しておきましょう。
子どもを望んでからの時間が長い場合、女性の年齢が35歳以上の場合、一刻も早く妊娠を望む場合は、不妊治療の専門家がそろった不妊治療専門クリニックの受診をします。
検査や治療の進め方に時間のロスが少なく、妊娠を目指すには近道といえます。
また、持病がある場合、婦人科系の手術の経験がある場合などは、大学病院や総合病院に通院するメリットがあります。
持病に関してはかかっている病院で妊娠希望であることを十分に相談し、紹介状をもらってから受診しましょう。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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