2020.01.31
≪以下の記事は2020年1月に作成したものです≫
不妊の検査は保険診療で可能なものも多くありますが、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査などは保険診療にはなっていないので自費診療ですし、基本的に不妊治療はすべて自費診療になります。
病院やクリニックによっては、一部保険診療で行っているところ、すべて自費診療で行っているところなど、さまざまです。ですから、病院ごとに費用は異なり、わかりにくいこともよくあります。
一般的な治療費を目安にして、コストパフォーマンスも考えながら治療を進めていきましょう。
体外受精は、精子と卵子を体外で受精させ、受精卵を子宮に戻す治療法です。
女性の卵子を卵巣から取り出し(採卵)、男性の精子と同じ容器に入れて受精を待ち、受精して受精卵(胚)になったら、数日間培養して子宮に戻します(胚移植)。受精卵を凍結する場合もあります。
1回の採卵で複数の卵子を採卵するために、排卵誘発剤を使って多くの卵子を育てます。
連日注射を打って卵子を成熟させ、同時に排卵してしまわないように薬で排卵を止めます。
採卵は麻酔を使って行われます。胚移植の後は、黄体ホルモンの薬を投与します。
連日の注射(自己注射も可能)、超音波検査などで通院回数は増え、1周期に5〜10回程度となります。
1回の体外受精(採卵・胚移植)の費用は、だいたい30万〜50万円ほどですが、薬代などは、その人の使用量や刺激方法により異なります。
排卵誘発剤の注射は1本・3000〜4000円で、どれくらいの量を何回使うかは、そのときになってみないと分かりません。薬をほとんど使わない場合もあれば、薬代だけで10万円以上かかる場合もあります。
また、受精卵を凍結(胚凍結)すると、そのための費用が別途でかかります。
複数の凍結胚ができれば、次回は胚移植だけで済むので、治療費の負担は少なくなります。
治療費は、医療機関によっても異なります。特に自費診療の場合は、医療機関で料金を決めますので金額の差が大きくなります。治療費については、医療機関のホームページで公開している場合が多いので参考にしてみましょう。
不妊治療は1回目の治療で妊娠・出産できるとは限らず、何度も治療を繰り返すことも少なくありません。人工授精を10回繰り返したら、体外受精を受けられる金額になっていたというケースも考えられます。
体外受精・顕微授精などには、国が定める特定治療支援事業により治療費の一部助成があります。
また、さまざまな自治体で不妊治療や検査に関して助成を設けています。不妊治療をするのなら、自分が住む自治体の制度を確かめてみましょう。
子宮筋腫や子宮内膜症があって、それが不妊に影響すると考えられる場合、手術による治療があります。
また、男性では、精子を作る機能に影響する精索静脈瘤の手術、無精子症の治療として精巣から精子を回収するTESE(精巣精子採取術)、MD—TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)などがあります。
[参考リンク]
不妊に悩む方への特定治療支援事業(厚生労働省)
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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