2020.01.31
睡眠は、身体と精神の健康を支える重要な役割をもっており、妊娠とも密接な関わりがあります。
妊娠といえば、女性の身体を考えがちですが、男性も妊娠と大きな関係がありますので睡眠と男性の生殖機能の関わりついても知っておく必要があります。
世界保健機関(WHO)によると、今、不妊症の48%は男性が関与しているという報告があり、日本でも、不妊の原因は男女とも半々といわれています。
原因は、現代人の生活様式・生活習慣の変化や環境汚染などが考えられています。具体的には、精子を作る能力が低下したり、勃起障害が起こったりすることです。
そして、これらが睡眠と関わっていることが、最近、明らかにされました。
WHOが定める精液検査の基準値
精子を作る機能は、活性酸素によってダメージを受けます。
夜間、分泌している睡眠誘発ホルモンのメラトニンには抗酸化作用があるので、睡眠に問題があると、活性酸素によるダメージは大きくなります。一般に7~8時間の適正な睡眠時間をとることが求められますが、妊娠を希望する世代の日本人男性の平均睡眠時間は、それには足りないのが現状です。また、体内時計の狂いもメラトニンの分泌に影響を及ぼすので、不規則な生活リズムも元凶となります。
睡眠時間が短かったり、睡眠障害があったりすると精子の数が減少し、また睡眠時間が長すぎても同様と報告されています。
精子数の減少には、日々の生活習慣が原因になります。
・一番の元凶は、スマホやPCを寝る間際まで使用し、それが睡眠の質を落とすことです。
・肥満、喫煙、そのほかにもストレスやうつ、食事の栄養の偏りも原因とされています。
・血行不順や疲労、ストレスが高じると、勃起障害を起こすことがあります。
現代の忙しい生活の中では、睡眠に注意を向けるのはなかなか難しいかもしれません。
しかし、睡眠は日中の生活と切り離して考えることができないものです。
パートナーと自分たちの睡眠習慣を見直し合い、お互いに理解し合って、安らかな眠りで妊娠に導かれるように心がけてください。
『参考資料』
・Wise LA, et al. Male sleep duration and fecundability in a North American preconception cohort study. Fertility and Sterility 2018 Mar; 109(3): 453-459.
・Chen Q, et al. Inverse U-shaped Association between Sleep Duration and Semen Quality: Longitudinal Observational Study (MARHCS) in Chongqing, China. Sleep 2016 Jan 1; 39(1): 79-86.
《 監修 》
橋爪 あき(はしづめ あき) 睡眠改善インストラクター
慶應義塾大学卒業。
一般社団法人日本眠育普及協会代表、睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)、
日本睡眠教育機構上級指導士、日本睡眠学会会員、NPO法人SASネットワーク理事。
睡眠知識の広報活動、講演、執筆、メディア・企業の企画協力などを行う。
▶HP https://min-iku.com/