2020.01.31
映し出された超音波画像から、子宮や卵巣の形態を確認します。
不妊治療の場合は、医師と同時に患者も超音波画像を見ることができる医療施設が多く、画像を見ながら、その場で説明を聞くこともできます。
この場合の異常とは、例えば子宮筋腫や卵巣囊腫、卵管水腫などです。
また、時期によっては卵胞の大きさや子宮内膜の状態から、排卵日の予測ができます。
月経周期に応じて行う超音波検査の目的や分かることは、次のようなことです。
卵胞の数や卵巣の様子を見て、前の周期の卵胞が残っていないか、異常がないかなどを確認します。
卵胞の大きさや子宮内膜の厚さなどを見て、排卵日を推測します。
卵巣に卵胞が残っていないかどうかを見て、きちんと排卵したかどうかを確認します。
おなかの赤ちゃんの胎囊の大きさや心拍(心臓の動き)などを確認します。
卵胞は卵子とその周りの細胞を含む構造物で、月経のころには直径5mm程度、超音波画像では黒く透けて見えます。
月経開始から約14日で直径20mmくらいに成長します。
それが排卵すると、超音波画像では見えなくなります。
また、卵胞の大きさによって排卵日を予想できます。
卵胞は1日に1.5〜2mm大きくなるので、例えば16mmの卵胞が見えたら、「あと2〜3日で20mmになって排卵するだろう」と推測できます。
さらに子宮内膜の状態でも排卵が近づいていることが分かります。
月経開始のころは薄かった子宮内膜が排卵日付近には厚さ8mm以上になり、特徴的な木の葉状を示します。こうしたことからも排卵日の予測ができるのです。排卵日が予測されたら、性交渉のタイミングや人工授精をする日が決まります。
[卵胞の変化]
左:月経開始5日目の超音波画像。小さな卵胞がいくつか見えています。
中央:月経開始8日目の超音波画像。約10mmの卵胞が見えます。
右:月経開始14日目の超音波画像。卵胞は約20mmに成長し、もうすぐ排卵します。
(画像提供:洞下由記先生)
[子宮内膜の変化]
左:月経開始5日目の超音波画像。子宮内膜は薄いままです。
右:月経開始14日目の超音波画像。子宮内膜は厚くなり、3本の白い線が木の葉のように見えています。排卵日が近いのが推測できます。
(画像提供:洞下由記先生)
超音波検査で見えるのは「卵胞」です。
この卵胞の中に「卵子」がありますが、超音波検査では映し出されません。
卵子は直径0.1mmほどの大きさなので、顕微鏡でないと見ることはできないのです。
超音波の器具を入れる際に多少の違和感はあるかもしれませんが、痛みはほぼありません。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
洞下由記先生の監修記事一覧(妊娠希望)
📖妊娠希望に掲載中の記事