2020.01.31
しかし、その定義を気にして、受診を1年間待つ必要はありません。「なかなか妊娠しないな」と思ったら、いつでも病院を受診していいのです。
また、これから妊娠を考えている人であれば、妊娠しにくい原因がないかどうか、基本的な検査だけ受けるために病院を受診してもかまいません。特に不妊の原因がなければ、しばらくは自分たちでタイミングをはかってもいいのです。
年齢や状況によりますが、自然に任せていたのでは、なかなか妊娠しにくいことが考えられます。
[早めに受診したほうがいい場合]
・女性の年齢が35歳以上
・子宮筋腫など、婦人科の病気の経験がある
・子宮内膜症がある
・月経不順や強い月経痛、ずっと月経がきていないなど、月経に関する悩みがある
・不正出血やおりものの異常がある
・持病がある
・妊娠を望んでいるが性交渉ができない など
持病がある人は、その病気の主治医に妊娠しても大丈夫かどうか相談しましょう。
妊娠が病気に影響を与えることも考えられるので、そのリスクがないかどうか、主治医に確認しましょう。
産婦人科であれば、基本的な不妊検査を受けられるので、まずは自宅や職場から行きやすい産婦人科を訪ねるといいでしょう。
妊娠を望んでいることを告げて、相談しましょう。
子どもを望んでからの時間が長い場合や女性の年齢が35歳以上の場合、また一刻も早く妊娠を望む場合は、不妊治療の専門家がそろった不妊治療専門クリニックへの受診をお勧めします。
検査や治療の進め方に時間的ロスが少なく、治療のステップアップも提案してくれるので、妊娠を目指すには近道といえます。
地域や個人によって状況は違うので、参考として考えましょう。
・信頼できる医師がいる
不妊治療は、信頼できる先生に出会えるかどうかが重要なポイントといえます。
信頼できる先生といっても「名医」という意味ではありません。もちろん医療技術は必要です。
しかし、不妊治療は精神的なストレスも多い治療で、そんな中で相性の合わない医師のもとで治療をするのは、つらくなることもあるでしょう。
医師と患者といっても人間同士なので、やはり相性はあるものです。
多くの人が「あの先生はいい!」と言っていても、実際にはその医師とうまくいかないこともあるのです。
Aさんにとって理想的な医師でも、Bさんにとってはそうではないことは珍しくありません。
そもそも何をもってして「いい」と言っているのか、「良い・悪い」も個人によってそれぞれの基準があるのです。
不妊治療では、「自分が話しやすい」「自分のことを分かってくれる(分かろうとしてくれる)」と感じる、そういった医師がいる病院が、自分にとってのいい病院になるのではないでしょうか。
・通いやすい
検査や治療で、月に何度か病院に行くことになるかもしれません。
通院にかかる時間が思った以上に負担になることもあります。
自宅や職場から近い、通勤途中にあるなど、通うのに不便でないことも大事な要素です。
・雰囲気がいい
病院に入ったときの雰囲気が自分に合うかどうかは、病院選びの大事なポイントといえます。
施設の雰囲気は院長やスタッフ、そしてそこに集まる患者が作り上げているものといえますが、それが自分に合っている・いないということもあるものです。
「なんとなくいい感じ」「落ち着いて過ごせる」など、そこにいて違和感を感じないことは意外に大事です。逆に「どうしても落ち着かない」「ここにいると気分が落ち込んでしまう」など、どうしようもない居心地の悪さを感じるのなら、自分には合っていないのかもしれません。
自分が病院に何を求めているかによっても、病院選びの基準は変わるでしょう。
「とにかく結果重視。体外受精の実施件数が多く、妊娠率が高いところがいい」という人もいれば、「マイペースで治療ができるように精神的にもサポートして欲しい」という人もいるでしょう。
また不妊治療は、夫婦(カップル)で取り組むものです。
パートナーの意見も聞き、お互いに納得した上で治療を進めていくことが大事です。
治療を進める場合には、要所要所で、お互いの考えを確認しましょう。
医師が忙しそうで質問しにくい雰囲気を感じることがあるかもしれません。
また、緊張して話ができないという人もいることでしょう。その場合は、看護師さんなど、他のスタッフに尋ねてみましょう。
丁寧に説明してもらえることもあります。
聞きたいことがある場合は、受診する前にあらかじめ質問事項をメモしておくことをお勧めします。
その場であわてなくてすみますし、聞き損ねてしまうことも減ることでしょう。
これから妊娠に向けて準備をするにあたり、どのような治療があるか、分からないことは多いでしょう。
まずは、不妊検査だけで受診してもかまいません。
体が妊娠に適した状態がどうかを知るためにも、基本的な不妊検査を受けましょう。
もしも妊娠しにくい原因が見つかった場合には、その治療をするとともに不妊治療の方針を考えます。
特に問題がなければ、タイミングを合わせるだけで妊娠するケースも多いものです。
検査やタイミング法をしている間にどんな治療があるのか聞き、今の治療で妊娠しなければ次の治療へのステップアップを考える、というのが一般的な流れです。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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