2020.08.31
これから子どもを持ちたいと考えていて、もしも何の保険にも加入していないのなら、これを機に考えた方がいいでしょう。また、すでに保険契約している場合は、保障内容について確認しましょう。
保険には大きく分けて、死亡時に備える「生命保険」と、病気やけがによる入院・手術などに備える「医療保険」があります。これに加えて最近は、自宅療養などで働けなくなった場合のための「所得補償保険」が注目されています。
保険に加入していない人がいる一方で、家計に対する保険料の負担が大きくて「保険貧乏」になっているケースもあります。収入と保障内容のバランスを考えて、必要かつ家計に無理のない保険を考えることが大切です。
保険は、死亡や病気などで収入がなくなった場合のリスクに備えるものです。
たとえ妻が専業主婦であっても保険は必要です。これまでやっていた家事や育児ができなくなれば、それを誰かにお願いすることになるからです。
妊娠をすると特に今までと体調が変わるため、入院や治療を行うケースもあります。
ただ、保険は入ればよいというものではありません。万一のときに不安だからと死亡時に受け取る保険金を高くしたり、あれもこれもと保障を追加したりすれば、当然ながら支払う保険料は高くなります。
保険料を家計に負担のない範囲にとどめるには「100点満点の安心」の保障ではなく、「不安ではない程度」の保障に押さえるのがポイントです。
生命保険は、夫婦のどちらかが亡くなってしまったとき、残された家族の生活を金銭的に支えるものです。
保険金をどれくらいにするかは、万一のときに「子どもにいくら残したいか」が目安になります。
例えば、子ども1人あたり1,000万円を残したいなら、子どもが2人いれば2,000万円の保障が必要ということ。夫と妻が、それぞれ1,000万円ずつの保険契約をすることも可能です。
次に大事なポイントが保障期間です。保障期間が長くなれば、保険料は高くなります。
子どもが独立すれば養育費は必要なくなるので、死亡保障は子どもを養育する期間だけと考えていいでしょう。また、満期の時点で死亡保障が欲しいと思えば、そのときに適した保険に加入すればいいのです。
保険は、加入するタイミングも重要です。同じ保障内容であれば、被保険者(保険の対象になる人)が若いほど支払う保険料は安くなります。
例えとして、ある保険商品で試算してみましょう。
男性、死亡保障2,000万円、保障期間25年。これに、入院1日5,000円の医療保障を加えた場合も試算します。
30歳の場合:月々の保険料は3,159円。医療保障を加えると月々の保険料は4,690円。
40歳の場合:月々の保険料は6,357円。医療保障を加えると月々の保険料は8,527円。
いかがでしょうか? 支払う保険料は、保障内容と年齢によって、ずいぶん異なります。また、年齢が高くなると病気のリスクが上がり、いざ保険に入ろうと思ったら条件付きになったり、加入を断られたりするケースも考えられます。子どもを望んでいるのなら、保険料が割安なうちに契約して損はないでしょう。
また、女性の場合は、妊娠中は健康にリスクを伴った状態となみなされ、保険に加入しにくくなります。そのため、妊娠する前に保険を契約しておきましょう。
すでに保険契約をしているなら、内容を確認して、今の自分たちに必要な保障かどうか、保険料は適切か、確認しましょう。
厚生年金に加入していた親が死亡した場合、子どもは基本的に18歳まで遺族年金を受け取ることができます。年金の受給額は、保険料を支払った期間などで変わります。
受給する年金を教育費にあてることもできますが、年金だけで生活を賄うことは難しく、民間の保険に加入して備えるのが現実的です。
一般的に保険を見直すタイミングは、以下のようになっています。
(1)子どもの人数が増えた
子ども1人あたりに残したい金額(保障)を人数分、増やしましょう。
(2)住宅を購入した
住宅ローンを契約した際、契約者(債務者)が死亡した場合には、住宅ローンが保険金で完済される団体信用生命保険に加入することがほとんどです。
その保障内容とすでに契約している保険の保障内容が重複していれば、従来の保険について見直しましょう。
(3)共働きだったが働き手が1人になった
これまでのような保障が必要かどうか、見直しましょう。
「保険は難しい」というイメージがあるかもしれませんが、基本は他の買い物と同じです。「25年間の保障を買う」「25年分の保険料を払う」ことを考えると大きな買い物ですから、複数の会社の保険商品を比べて検討しましょう。
民間の保険の相談窓口や保険外交員に相談してもいいのですが、そうした人は販売できる保険が限られていることが多いのです。説明を聞いたら一度自宅に帰って、インターネットで同じ条件の他社の保険を調べてみましょう。ホームページで簡単に試算できる保険会社もありますから、比較してみましょう。
また、これを機に家計全体の見直しと併せて、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーなどに相談するのも、1つの方法です。
なお、比較することは大切ですが、決めかねて保障を買わないうちに万一のことが起こっては困ります。ある程度納得したら、早めに決断することも必要です。
《 監修 》
菅原 直子(すがわら なおこ) ファイナンシャルプランナー
子育て世帯にかかせないお金知識を自治体の講座などわかりやすく解説。学生向け奨学金講座や新聞・雑誌等に教育費に関するコメント・執筆も。「子どもにかけるお金を考える会」「働けない子どものお金を考える会」メンバー。