2020.11.09
不妊症と聞くと、以前は女性に原因があると思われがちでした。
しかし、近年、不妊の原因は女性側だけにあるのではなく、約半数は男性側にもあることが分かってきました。不妊症の原因は、男女ともにあるということです。
不妊症の原因を大別すると、以下の4つがあります。
これらの原因が一つでもある場合やいくつか重なることで不妊症という症状につながっているのです。
また、加齢による生殖能力の低下も不妊の原因の一つと考えられます。
妊娠を望んで定期的に性交渉を行っているにもかかわらず、なかなか妊娠に至らない場合には、パートナーと相談のうえ、早めに専門医に相談すると良いでしょう。
男性側の不妊症の原因としては、以下の3つがあります。
精子を作る精巣の機能に何らかの障害があり、精子の数の減少や運動率の低下、奇形率の増加が見られる状態です。
《WHOが定める精液検査の基準値》
男性不妊の原因の多くの割合を占めています。
正常に精巣で精子が作られているにもかかわらず、輸精管に何らかの障害があり、精子が精管を通って外へ出てこられない状態です。
性交時に十分な勃起が得られず満足な性交ができない勃起障害と、勃起はするけれども射精ができない射精障害があります。
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ストレスなどの心因のほか、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病、脊髄損傷や骨盤内手術に伴う神経障害、精神疾患などもその原因として考えられます。
不妊治療においてほとんどの男性が受ける一般的な検査が、精液検査です。
精子の状態を確認し、数時間のうちに結果を知ることができます。
不妊治療を受ける病院やクリニックのほか、泌尿器科でも検査が可能です。
女性の不妊症の検査は、月経周期に合わせ基礎体温をつけたり、造影をしたりと時間がかかり、身体的負担が大きい検査が多くあります。
よって、女性よりも先に男性が精液検査を受け、男性側に要因がある場合は、先に治療を始めておくと時間を節約できることもあります。
不妊症の相談や診察は産婦人科で受けるので、女性が最初に診察を受けることが多いのが現状です。
体外受精時の採卵も胚移植も、すべて女性側の身体に負担がかかります。
もちろん、その後の妊娠を継続させ出産を行うのも女性です。
それぞれの役割は違いますが、カップルが同じ方向を向いて、二人で子どもを作り、家庭を作るという意識をどうか忘れないでほしいと思います。
また、治療に関することだけでなく、生殖機能を保全するための知識や行動、妊娠のメカニズム、性感染症から自分を守るにはどうすればいいのかなど、男性も積極的な知識の習得を行っていきましょう。
不妊治療は、身体的な負担だけでなく精神的にも大きな負荷がかかります。
妊娠することばかり考えていると、妊娠しないストレスからイライラしたり、不妊の原因があると特定された人はパートナーへの申し訳なさや罪悪感を抱いたりすることもあるでしょう。
二人でしっかりコミュニケーションをとっていくと共に、信頼できて話を聞いてくれる第三者がいると良いですね。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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