2022.10.27
舌下での体温は、わきの下の体温よりも汗などの影響を受けにくく、測定が安定しています。この体温を測って記録したものが「基礎体温表」です。
女性の体は、女性ホルモンの変動によって排卵や月経が起こっています。
月経開始から排卵までは、卵胞ホルモンの働きによって卵胞が育つ卵胞期。
体温が低い状態が続くので「低温期」と呼ばれます。
そして、排卵したあとは黄体ホルモンの働きで体温が上昇。これを「高温期」といいます。
高温期は14日間ほど続き、妊娠しなければ子宮内膜が子宮からはがれて月経が起こります。そして、体温は低くなります。
基礎体温をつけると、月経開始からは低温期が続き、排卵後には高温期が続く「二相」になります。
低温期と高温期があれば、排卵が起こっていると推測できるのです。
🖊基礎体温から推測できることはこのような内容です
朝、目が覚めた直後、起き上がらないで、横になったまま、舌の下に体温計を入れて測ります。
睡眠が安定しない場合は、4時間以上睡眠をとった後であれば測定可能です。
計測したら、基礎体温表に記録します。
体温表は薬局などで市販されていますが、病院で体温表をもらえることもあります。
インターネット上にもダウンロードできるものがあります。
また、スマートフォンのアプリを利用してもいいでしょう。
できるだけ毎日、同じ時間に測るのが望ましいですが、神経質に細かくつけなくても大丈夫です。
測る時間が多少違ったり、測り忘れて途中でグラフが切れてしまったりしてもかまいません。
できる範囲で記録しましょう。
また、体調に変化があれば、備考欄に記しておきましょう。
🖊下記のような内容をメモしておこう!
だいたい「二相性」になります。
基礎体温がバラバラだと心配する人も多いのですが、これも見本のようにきちんと二相に分かれることは、まずありません。
明らかに高すぎる、低すぎる値を無視して、だいたい低温期と高温期に分かれていれば大丈夫です。
低温期の平均と高温期の平均の差は0.3〜0.5度程度です。
よく「基礎体温が最も低くなった日が排卵日」といわれますが、実際は見本のようにきちんと体温が下がることは少ないので、「低温期の最後の日が排卵日」と思って大丈夫です。
また、季節によっても基礎体温は変わります。
夏は高めで冬は低めになります。
月経の周期は人それぞれですが、長くなったり短くなったりするのは低温期(月経から排卵までの期間)です。
排卵後約14日で月経がくるのはどんな周期の人でも変わりません。
たまに高温期が短い📖黄体機能不全という状態の人もいますが、かなり稀です。
目安としては「低温期の最後の日」を排卵日と思っていればいいでしょう。
といっても、いつが低温期の最後の日なのかは、体温が上がってはじめて「低温期が終わった」と分かるものです。
つまり、基礎体温表は「過去の記録」なのです。
そこで、これまでつけた基礎体温を参考にしてみましょう。
月経周期が決まっている人は、排卵日の予測は比較的簡単です。
月経周期が長くなったり短くなったりするのは、排卵までの日数(低温期)によるものです。
排卵後は14日間で月経が起こりますので、「月経周期からマイナス14日が排卵日」と計算できます。
28日周期の方なら28−14=14日目、35日周期なら35-14=21日目が、だいたいの排卵日と予想できます。
「低温期の最後のほうになってきたな」と思ったら、タイミングをはかって性交渉を持つといいでしょう。
また、性交渉は排卵日に1回だけでなく、2〜3回持つのが理想的です。
1日あけてもかまいません。
排卵までに精子をできるだけたくさん体内に送り込んでおけば、もしも排卵日が前後にずれたとしても、精子と卵子が出会える可能性が高くなります。
基礎体温が低温期と高温期の二相になっていない場合。
しかし、月経周期が整っていれば、多くの場合はバラバラに見えていても二相になっていることが多いです。
高温期は通常は14日間ですが、10日以内と短い場合は、黄体ホルモンが十分に分泌されていない黄体機能不全が考えられます。
また、卵胞が十分に発育しない場合も、その影響で高温期が短くなります。
排卵するまでに時間がかかる、つまり卵胞の発育に時間がかかっています。ホルモンの分泌に問題がある可能性があります。
排卵のあと、21日以上の高温期が続くと妊娠が考えられます。子宮外妊娠などの可能性がないか確認するためにも、産婦人科を受診しましょう。
でも、せっかく測ったのなら、起きて測ったことを書き添えて参考として記入しておくといいでしょう。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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