2021.05.17
AMHは、とても小さな一次卵胞、二次卵胞と呼ばれる卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣にどれくらいの卵子が残っているか、その目安が分かるとされています。
そのため、卵巣年齢を推測する検査として、「卵巣予備能検査」とも呼ばれます。
近年、AMHの数値を調べて、今後の妊娠や治療の参考にすることが一般的になってきています。
一般的にAMHの数値が高いほど卵子の残りは多く、数値が低いほど卵子の残りは少なくなります。
女性の卵子は、生まれる前に全て作られていて、それは卵巣に貯蔵されています。誕生した後は卵子の数は徐々に減っていき、1,000個を切ると閉経するといわれています。
年齢を重ねれば自然に卵子は少なくなっていくのですが、個人差が大きく、人によってその数は違います。
若くても残りの卵子の数が少ない人もいれば、年齢が高くても比較的多く卵子が残っている人もいます。
採血してから検査結果が出るまでは、数日かかることが多いでしょう。
AMH検査の費用は保険適用外で自費となります。
どの年代であっても、まずは一度、AMH検査を受けて、現在の状況を把握するといいでしょう。
検査の結果を踏まえて、今後の治療方針を立てていけるからです。
また、月経を止めるような治療をしている場合も、AMHの数値は低くなります。
AMHの数値が高すぎる場合(5ng/ml以上が目安)は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。
AMH検査(卵巣予備能検査)で卵子の残りが少ないことが判明したら、積極的に不妊治療に取り組んだり、早めに妊娠の可能性が高い治療へのステップアップを考えたりしましょう。
年齢が若ければ人工授精を行い、数回行っても妊娠しなければ、早めに体外受精を視野に入れる、また35歳以上であれば早期に体外受精に進むなどです。
もともと女性には、妊娠・出産の時間的なリミットがあります。
AMHの数値が低いということは、それが早く訪れるということです。
AMHの数値が低い場合、妊娠・出産は時間との闘いになると意識して、今後の治療を考えていきましょう。
妊娠率は、その女性の実年齢の方が関係します。
AMHの数値は残りの卵子の数と関係します。
卵子の数が少ないということは、排卵される卵子の数が限られているということです。
さらに年齢が高い場合には、妊娠できる力を持った卵子が排卵される確率が低くなっています。
こうした点も念頭において、これからの治療を考えることが大切です。
「早発閉経」といって、40歳より前に閉経するケースがあります。
しかし、妊娠には卵子の数よりも卵子の質が重要です。
年齢が若いと卵子の質はよい(妊娠できる能力を持った卵子のこと)ので、妊娠できる可能性は高いといえます。
ただし、妊娠可能な時間は限られるので、早めに治療することが望ましいでしょう。
多嚢胞性卵巣症候群とは、本来は1個の卵子が排卵に向けて成熟するのに、複数の卵子が育ってしまい、排卵しにくくなる病気のことです。
排卵させるために排卵誘発剤を用いると多胎妊娠のリスクがあり、薬による治療が難しい場合があります。そうしたケースでは、体外受精で複数の卵子を採卵して受精卵を凍結し、1個ずつ子宮に戻す方法が行われています。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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