不妊治療の タイミング法 とは？自己流と病院指導は何が違うの？【医師監修】

不妊治療でいう「タイミング法」は、妊娠しやすい排卵の時期に合わせて性交渉を持つものです。

男性の精子は射精後、女性の体内で1〜3日間くらい生存するといわれています。

一方、女性の卵子は、排卵して受精できる能力があるのは約24時間といわれます。
この間に精子と卵子がうまく出会って受精することが、妊娠の第一歩です。
そのために、精子と卵子の出会いやすい時期に性交渉を持つのです。

よってタイミング法は、不妊治療の最初のステップといえます。

自分でもタイミング法を試みることができます。

基礎体温を2〜3カ月つけたら、自分の月経周期（生理周期）が分かります。

仮に月経周期が28〜30日くらいであれば、月経開始から14〜16日目前後に排卵があり、その後は高温期が14日間続くでしょう。

排卵時期と予測される月経開始14日目ころと、できればその数日前にも性交渉を持つといいでしょう。

尿をかけて検査する排卵日予測検査薬も市販されているので、参考にしてもいいでしょう。

病院でのタイミング法は、より正確に排卵時期を推測して行います。

超音波検査で卵胞（卵子の入った袋）の大きさを確認します。
卵胞が20mmくらいまで大きくなると排卵するので、夫婦生活（性交渉を持つこと）をするように指示されます。

超音波検査に加えて、尿検査や採血などでホルモン値を測ることもあります。

また、排卵後に超音波検査をして、卵胞が残ってないかどうか、つまり確実に排卵したかどうかを確認します。

月経周期が不規則な人は、基礎体温などから排卵日を推定することは難しいので、病院で超音波検査をしてもらって排卵日を推定することをお勧めします。

性交渉の回数は、多ければ多いほど、妊娠できる可能性は高くなります。

排卵時期を推測して、その少し前と排卵日のころ、最低2回はトライしたいものです。

しかし、妊娠だけが目的となると男性がプレッシャーを感じたり、イヤになってしまったりすることもあります。
タイミングをはかることだけに集中してしまわない方がいいでしょう。

正確にタイミングを合わせるだけで妊娠するカップルはいます。

これまで、たまたまタイミングが合わなかったのかもしれません。
しかし、すべてのカップルがタイミング法で妊娠できるわけではありません。

💡タイミング法が有効なのは、排卵していること、卵管が通っていること、射精した精液中に精子の数が十分あることが前提です。

排卵がなければ、精子と卵子が出会えませんし、両方の卵管が詰まっていたら精子が卵子までたどりつけません。

また、精子の数が少ないと、卵子に到達できる可能性が低くなってしまいます。
自分でタイミング法にトライするにしても、これらの検査はしておいたほうがいいでしょう。

タイミング法は、以下のような人に向いた治療です。

不妊の基本検査を受けた上でトライしましょう。

一般的には6カ月です。

排卵があり、適切な時期に性交渉を持っているにもかかわらず、1年以上妊娠しないのであれば、このままタイミング法を続けても妊娠する可能性は数％と低くなります。

こうした場合、妊娠しにくい原因があるのかもしれません。

また、女性は加齢とともに妊娠できる可能性が低くなります。
35歳以上であれば、タイミング法に期待するのではなく、その先の治療も考えておきましょう。