2023.02.20
イライラしたり不安になったり、頭痛や腹痛、乳房の張りなどが起こったり……でも、月経が始まると、不快な症状がすっと消えて楽になる。
そんな場合に考えられるのが、PMS(月経前症候群=げっけいまえしょうこうぐん)やPMDD(月経前不快気分障害)の可能性です。
程度の差はありますが、PMSの症状は、月経がある女性の70~80%に、PMDDの症状は、40%程度の女性に見られるといわれています。
そこで今回は、PMSの原因や対処法、気になる妊娠との関係についてご紹介します。
以上のような症状が、月経前3~10日の間に続き、月経の開始とともに軽くなったり解消されたりする場合、PMSやPMDDが疑われます。
なお、PMSと症状が似ているものに月経困難症(げっけいこんなんしょう)があります。
月経困難症の場合は、月経直前または月経開始とともに症状が現れ、月経終了前または月経終了とともに症状が治まります。
女性の体は、脳の指令を受け、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンを一定のリズムで分泌することで、排卵や月経などの体調をコントロールしています。
しかし、排卵前後や月経がくる直前には、エストロゲン、プロゲステロンが急激に上昇したり、低下したりします。
女性ホルモンをコントロールしている視床下部と下垂体という司令塔は、同時に心身の状態を一定に保つ自律神経のコントロールも担っています。
このため、排卵期や月経直前のホルモン変動を受けて、交感神経(興奮モード)や副交感神経(リラックスモード)を調節する自律神経の不調をきたしやすくすると考えられています。
むくみや体重増加、おなかの張りの症状も、排卵後に分泌されるプロゲステロンが関係しているとされています。
このホルモンリズムは妊娠をするために、女性には必要不可欠なリズムですが、一方でPMSやPMDDといった症状を生じるきっかけにもなっています。
また、自律神経系は、疲労やストレスなどでもバランスを乱しやすくなります。
このようにPMS・PMDDにはいくつもの原因が影響し合って引き起こされています。
ただし、体がつらかったり、精神的に不調だったりして普段の生活を送るのが難しいときは、我慢せずに婦人科を受診しましょう。
また、PMSだと思っていたら他の病気が隠れているというケースもあります。
「毎月のことだから仕方がない」と諦めないで積極的に受診することが大切です。
💊<低用量ピル>
💊<漢方薬>
💊<症状を抑える薬>
🖊<症状日記をつける>
🌸<運動やカウンセリング心理療法>
💊<サプリメント>
☕<カフェインやアルコールを控える>
しかし、PMS・PMDDが直接の原因となって妊娠しにくくなる可能性はありません。
PMSは排卵後に発症するので、PMSの症状があるということは、むしろ排卵が正常に起こっているということです。
もちろん、妊娠は排卵だけの問題ではありませんが、症状の重い軽いに関係なく、「PMSだから妊娠しにくいのでは?」と不安になることはないでしょう。
ただし、PMSによる睡眠障害や食欲不振、情緒不安定からくるストレスなどは、いわゆる「妊娠しやすい体づくり」を妨げる可能性があります。
妊娠を希望している場合は、妊活の1つとして、セルフケアを行ったり産婦人科を受診するなど、PMS・PMDDの症状を抑えるようにするといいでしょう。
服用を止めれば排卵は復活しますが、受診の際には、あらかじめ医師に妊娠を希望していることを伝えておきましょう。
妊活中に飲めるサプリメントや漢方薬などでも治療は可能です。
PMS・PMDDによる月経前の心身の不調や違和感は、月経のある女性の大半が経験していることです。
でも、症状に個人差が大きいこともあり、他の人に相談したり産婦人科を受診したりすることをためらう方も多いようです。
月経は定期的にくるものです。我慢をせず、治療やセルフケアをすることで自分の身体と向き合い、月経前の期間をより快適に過ごしましょう。
《 監修 》
丸山 真理子(まるやま まりこ)産婦人科専門医
EASE女性のクリニック院長。
産婦人科専門医として子宮がん・乳がん検診のほかプレコンセプションケア、妊活、妊娠、子育てと全てのライフステージの女性診療に携わる。イーズファミリークリニック本八幡・病児・病後児保育室室長、EASE English Montessori School、日本女性財団プラットフォーム委員会委員長としても精力的に活動中。
▶HP https://ease-clinic.jp/ EASE女性のクリニック
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