2021.05.01
日本女性の平均的な閉経の年齢は、50歳前後とされています。
卵巣内の卵子は持って生まれた分だけを使って排卵し、卵子の数が増えることはありません。
卵巣に残る卵子が少なくなり、1,000個を下回ると閉経します。
早発卵巣不全は何らかの原因で卵子の減少が早く起こり、若年で閉経してしまう病気です。
妊娠することは非常に難しくなるので、早発卵巣不全が疑われた場合は、早めに妊娠にトライするか、卵子を凍結保存するという選択肢もあります。
ただし、卵子凍結ができる病院は限られます。
原因として明らかなものには、卵巣の手術や抗がん剤などによる医原性の卵巣機能低下や、染色体異常によりもともとの卵子数が少ないことが挙げられます。
半数が原因不明ですが、自己免疫疾患による可能性があるといわれています。
また、一部の早発卵巣不全は、遺伝的な原因で実母の閉経年齢が若年であると起こりやすいともいわれています
超音波検査では、子宮や卵巣は萎縮し、小さくなっていることが特徴です。
妊娠を望む場合は、排卵誘発剤を用いて卵巣を刺激し、卵胞を発育させますが、全く反応しないこともあります。
卵胞が発育した場合は、貴重な排卵になるので、可能であれば採卵し、体外受精を行う選択もあります。
妊娠を希望しない場合は、女性ホルモンの補充が必須です。
若年で女性ホルモンが不足すると、骨粗しょう症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まり、それらはホルモン補充療法をしっかり行えば予防できます。
女性ホルモン補充の期間は、平均的な閉経年齢である50歳前後までが目安です。
《 監修 》
洞下 由記(ほらげ ゆき) 産婦人科医
聖マリアンナ医科大学助教、大学病院産婦人科医長。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。
不妊治療をはじめ、患者さんの気持ちや環境を一緒に考えてくれる熱血ドクター。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。専門は生殖内分泌、周産期、がん・生殖医療。
▶HP https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/reproduction/ 聖マリアンナ医科大学病院
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