2021.07.21
その中の一つに「愛情ホルモン」のニックネームで呼ばれる物質があります。とてもありがたそうな名前のホルモンですね。
本名は「*オキシトシン」といい、子育てにはとても大切なホルモンです。
オキシトシンには次のような5つの効果があります。
お母さんが子どもをやさしく抱っこしたり、抱きしめたり、授乳したりするスキンシップが刺激となり、オキシトシンは母親の脳内から分泌されますが、同時に、スキンシップを受けた子どもの脳内からも分泌されます。
抱っこをするのがお父さんであってもオキシトシンが分泌するといいますから、まさに親子の強い絆を作る愛情ホルモンと言えます。
スキンシップの多かった子は、そうでなかった子より、オキシトシンの量が多いという報告があります。
そっと手を握られたり、肩に触れられたりした場合もオキシトシンが分泌されるため、私たちは安心感を得ることができます。オキシトシンがストレスホルモンを低下させ、不安感を抑え、やすらぎを与えてくれます。
オキシトシンは、ニックネーム「幸せホルモン」という、これもまたありがたい響きのセロトニンを活性化させます。セロトニンは、緊張や興奮を抑え、精神の安定をもたらしますから、オキシトシンと並べば、鬼に金棒です。
オキシトシンの働きで心身がリラックスすれば、短期記憶が上がり、学力能力が向上します。
オキシトシンは自律神経の副交感神経を優位にします。副交感神経は心身をリラックスさせるので、睡眠もよくとれ、成長ホルモンの分泌を促します。ベビーマッサージなどが効果的です。
このように、オキシトシンが心身にもたらす効果は絶大だと言えます。
この効果を知れば、誰しももっとスキンシップを増やしてオキシトシンをたくさん分泌したいと思うでしょう。
それには、日ごろの心がけが大事です。
オキシトシンの分泌を増やすためには、心を広く持ち、赤ちゃんや家族、周囲に親切にして、楽しみを見つけて明るく過ごすことです。
そして何よりも、その際にスキンシップをし合うことです。
そうすることで、心身に良い循環が生まれ、ますます愛が深まっていくでしょう。
『引用文献』
1)二神弘子、藤原宏子:オキシトシンと心身の健康. 心身健康科学15巻1号.2019
『参考文献』
山口創:幸せになる脳はだっこで育つ.廣済堂出版
山口創:脳からストレスが消える肌セラピー.青春出版社
《 監修 》
山口 創(やまぐち はじめ) 教授
桜美林大学リベラルアーツ学群 教授、博士(人間科学)、臨床発達心理士。
オキシトシンを分泌させる触れ方、ストレスや痛みを癒す皮膚感覚について研究。
子育て、医療、セラピーなど多数の現場で研究・講演活動中。
『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『子育てに効くマインドフルネス』(光文社新書)など多数執筆
▶HP http://www2.obirin.ac.jp/y-hajime/
橋爪 あき(はしづめ あき) 睡眠改善インストラクター
慶應義塾大学卒業。
一般社団法人日本眠育普及協会代表、睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定)、
日本睡眠教育機構上級指導士、日本睡眠学会会員、NPO法人SASネットワーク理事。
睡眠知識の広報活動、講演、執筆、メディア・企業の企画協力などを行う。
▶HP https://min-iku.com/