2021.10.08
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突発性発疹(とっぱつせいほっしん)は、 高熱と、熱が下がった後に現れる皮膚の発疹が特徴のウイルス感染症です。
生後4カ月から2歳くらいまでに発症します1,2) 。
これは、生まれてしばらくは母親のヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)に対する抗体が胎盤を通じて新生児の血液に入るため守られていますが、母親からもらった抗体が徐々に下がるため突発性発疹のウイルスが体に入ると免疫がないために発症します。
子どもにとって「初めて経験する高熱」となることが多いです。
熱は通常3~4日間です1,2) 。
熱が高いわりに症状に乏しいのが特徴です。
発疹は、「ピンク色の斑状の発疹」で、4日間ほどで自然に消えます3) 。熱性けいれんをきたすことがあります。
医師が発熱をともなう他の病気と判別することが必要なので、病院やクリニックの受診を考えましょう。
子ども同士でうつす心配はなく2,4)、季節による流行もみられません4,5)。
大人はほとんど乳幼児期に感染しているのでこの病気にはなりません。
HHV-6はヘルペスウイルスの一種なので感染後体内に一生潜伏します。
ウイルスの侵入が初めての場合体に反応が起きます。例えば、大人の唾液に含まれるHHV-6が何かのきっかけで子どもの体に入ってくると、子どもの体は、それを「敵だ!」と判断し、戦うためにいろいろな反応が起きます。そのひとつが発熱で、後に発疹が出てきます。
実際の症状には次のようなものがあります。
一度突発性発疹にかかると、免疫がつきます。
ただし、初回の感染とは別のウイルスが突発性発疹の原因となることもあり、その場合は2回目以降の感染・発症もあり得ます。
どうしても他の病気と判別にくいときは血液などにウイルスがいるかどうかを調べる検査が行われることもあります。
初めての感染時で意識障害がある場合などは脳の合併症が起きたと考えられ、専門的な医療機関で治療を受けます。
けいれんを起こした時は医療機関を受診します2)。
家庭では、子どもの様子をよく観察しながら、熱が出た時の一般的なケア(安静、水分補給、室温や衣類の調節、清潔を保つなど)をします。
他の子どもにうつすことはありません2,4)。症状がよくなっていれば、普段通りの生活をして大丈夫です。
突発性発疹の予防法はありません。
不安な場合は園と相談しましょう。
『参考資料』
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。
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