2021.12.20
抗菌薬は、それぞれの薬の構造や効く仕組みなどによっていくつかのグループに分類され、「○○系」という呼び方をします。
「くすりのしおり」などに書かれている「ペニシリン系」「セフェム系」「マクロライド系」などがそれにあたり、それぞれのグループには得意な相手(細菌)や戦いに適した場(肺や耳といった臓器)があります。
また同じ抗菌薬でも、飲み薬、注射薬、点眼薬、塗り薬など、さまざまな形状のタイプが開発されています。
さらに、飲み薬では、シロップ(液状で甘味のついた薬)、ドライシロップ(水に溶かして飲む顆粒状、もしくは粉末状の薬)などがあります。
医師は、お子さんの感染症とその原因とみられる細菌の種類、重症度、年齢、他の病気の有無、起こりうる副作用などを総合的に判断し、最適な抗菌薬を処方します。
処方された抗菌薬は、処方された日数分を飲み切ることが大切です。
中途半端に服薬をやめてしまうと、抗菌薬が効かない「耐性菌」をつくる恐れがあります。
残った抗菌薬を別の機会に自己判断で服用したり、他の子どもに与えたりしてはいけません。
「できる範囲で、処方指示にそって飲ませる」という気持ちで考え、薬を飲み忘れてしまった時には「数時間なら、気が付いたその時点で飲ませる」「医師や薬剤師に相談してみる」「#8000のような医療相談窓口に問い合わせる」などで対応しましょう。
飲み始めて何か気がかりなことがあれば、医師、薬剤師に相談しましょう。
<薬の形状>
細粒、錠剤
<特徴>
セフェム系の抗菌薬。他の抗菌薬でよくならない中耳炎などに使われます5)。
<注意>
症状がよくなっても、医師から処方された日数を飲みましょう。
アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。低血糖による意識の低下、けいれんなどが現れることがあります1)。
カルニチン欠乏のリスクがあるので長期投与を避けます。
<薬の形状>
細粒、カプセル
<特徴>
セフェム系の抗菌薬。呼吸器、皮膚、耳・鼻、泌尿器などの感染症に使われます3)。
<注意>
粉ミルク、経腸栄養剤など鉄添加製品と併用すると、尿や便が赤くなることがあります3)。
症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
ドライシロップ、錠剤
<特徴>
セフェム系の抗菌薬。呼吸器、尿路、皮膚、耳・鼻などの感染症に使われます3)。
<注意>
症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
錠剤、細粒
<特徴>
セフェム系の抗菌薬。呼吸器、耳・鼻、尿路などの感染症に使われます3)。
<注意>
症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
低血糖による意識の低下、けいれんなどが現れることがあります1)。
カルニチン欠乏のリスクがあるので長期投与を避けます。
<薬の形状>
錠剤、細粒
<特徴>
セフェム系の抗菌薬。皮膚、呼吸器、尿路、耳・鼻の感染症に使われます3)。
<注意>
苦味を防ぐための細粒なので、つぶしたり、溶かしたりせず3)、やむを得ず牛乳・ジュース・水などに混ぜたときはすぐに飲みます3)。
症状がよくなっても、医師から処方された日数を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。低血糖による意識の低下、けいれんなどが現れることがあります1)。
カルニチン欠乏のリスクがあるので長期投与を避けます。
<薬の形状>
錠剤、小児用錠剤、ドライシロップ
<特徴>
マクロライド系の抗菌薬。肺炎のうち、マイコプラズマという病原体の関与が疑われる場合などに使われます1)。ドライシロップはイチゴ味。
<注意>
ドライシロップを酸性飲料(オレンジジュース、スポーツ飲料など)で服用すると苦みが出るため、避けましょう3)。
症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
顆粒、錠剤、ドライシロップ
<特徴>
マクロライド系の抗菌薬。肺炎のうち、マイコプラズマという病原体の関与が疑われる場合などに使われます1)。
<注意>
苦い薬のため、飲み物や食べ物と混ぜて飲む方法もありますが、組み合わせによってはさらに苦みが増す可能性があります4)。症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。
アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
錠剤、細粒、カプセル
<特徴>
マクロライド系の抗菌薬。肺炎のうち、マイコプラズマという病原体の関与が疑われる場合などに使われる1)。1日1回、3日間飲むと薬が体内に7日間持続する。
<注意>
苦い薬のため、飲み物や食べ物と混ぜて飲む方法もありますが、組み合わせによってはさらに苦みが増す可能性があります4)。症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
シロップ、ドライシロップ
<特徴>
マクロライド系の抗菌薬。呼吸器、皮膚、耳・鼻、泌尿器などの感染症に使われます3)。
<注意>
シロップは軽く振ってから服用します3)。症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
ドライシロップ、錠剤、カプセル
<特徴>
ホスホマイシン系の抗菌薬。他の薬と「効く仕組み」が異なるため、組み合わせて使われることもあります。
<注意>
症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
<薬の形状>
ドライシロップ、錠
<特徴>
ペネム系の抗菌薬。皮膚、呼吸器、耳・鼻の感染症に使われます3)。
<注意>
症状がよくなっても、医師から処方された日数分を飲みましょう。アレルギーのような症状が現れた場合は、速やかに医療機関に連絡します。
《 監修 》
松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医
神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。
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