【医師監修】『 整腸薬 や整腸剤』はどんな時に処方されるの?子どものお腹の不調を整える薬

2022.01.07

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整腸薬ってどんな薬?【監修】松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

私たちの腸内には、無数の細菌がすみ着いていて、その細菌を腸内細菌と呼んでいます。

腸内細菌の種類は1000種類以上、細菌の数では100兆~1000兆個とも言われています1)。腸内にすみ着いた色々な種類の細菌を、色とりどりの花が咲くお花畑(flora)に見立てて、「腸内フローラ」と呼びます。

腸内細菌は大きく分けて人間にとって良い働きをする「善玉菌」と有害な働きをする「悪玉菌」がいます。また、そのときどきの腸内フローラの勢力分布に応じてどちらにも変わることができる「日和見菌」がいます。これらの細菌が、絶妙なバランスで腸内にすみ着いています。
善玉菌はビフィズス菌や乳酸菌が、悪玉菌は大腸菌が有名です。

善玉菌と悪玉菌のバランスは人によって異なりますが、理想的なバランスは善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%といった2:1:7の比率です1)

ストレスや食生活の悪化、食中毒などの腸の病気、病気で抗生物質の投与を受けるなど様々な要因により腸内細菌のバランスが崩れ、結果として下痢になったり便がゆるくなったりすると考えられています。

 

整腸薬は、善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を薬として服用する製剤です。

分かりやすく言うと、腸内で劣勢になった善玉菌の「応援部隊を送り込む」というわけです。

効果としては、腸内細菌の乱れによる症状(下痢、軟便、お腹の張り〈腹部膨満感〉)、食中毒(感染性胃腸炎)による下痢、抗生物質を使用している時の下痢などを改善します

 

 

この記事では、子どもに使われる主な整腸薬を紹介します(2021年時点)。整腸薬は、処方箋なしで買える一般用医薬品(OTC)として薬局でも広く市販されています。

薬の飲み合わせなどもあるため、今飲んでいる薬があれば、受診時に医師・薬剤師に伝えましょう。

整腸薬がよく処方される症状

下痢、軟便、便秘、腹部膨満感などの症状、抗生物質の服用時の下痢

など

整腸薬の種類

●ビオフェルミン配合(ラクトミン<乳酸菌>、糖化菌)

<薬の形状>

<特徴>
乳酸菌が腸内環境を正常化し、下痢、軟便、便秘、腹部膨満感などを改善します。糖化菌は乳酸菌の増殖を助けます2)
<注意>
他に薬を使っている場合は、医師・薬剤師に伝えましょう。

 

●ラックビー/ビオフェルミン(ビフィズス菌)

<薬の形状>
微粒(ラックビーのみ)、錠剤
<特徴>
ビフィズス菌が増殖することで、悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を正常化します
<注意>
他に薬を使っている場合は、医師・薬剤師に伝えましょう。

 

●ミヤBM(酪酸菌)

<薬の形状>
細粒、錠剤
<特徴>
「宮入菌」という名前の酪酸菌(らくさんきん)が腸内環境を改善します。
<注意>
他に薬を使っている場合は、医師・薬剤師に伝えましょう。

 

●ビオスリー(酪酸菌、ラクトミン<乳酸菌>、糖化菌)

<薬の形状>
散、錠剤、OD(口腔内崩壊)錠
<特徴>
3種類の菌の配合剤です。配合によって善玉菌の増殖が促進されるといいます3)
<注意>
他に薬を使っている場合は、医師・薬剤師に伝えましょう。

 

●ビオスミン配合/レベニンS配合(ビフィズス菌、ラクトミン<乳酸菌>)

<薬の形状>散、錠
<特徴>
2種類の菌の配合剤です。配合によってビフィズス菌の増殖が促進されます4)
<注意>
他に薬を使っている場合は、医師・薬剤師に伝えましょう。

 

●エンテロノンR/ビオフェルミンR/ラックビーR/レベニン(耐性乳酸菌)

<薬の形状>
散、錠剤(ビオフェルミンR、レベニン)
<特徴>
抗生物質服用時にも菌が生育して、整腸作用を示します2)
<注意>
他に薬を使っている場合は、医師・薬剤師に伝えましょう。

『参考資料』

1) 長寿科学振興財団.健康長寿ネット.
(2022年11月29日閲覧:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html
2) くすりの適正使用協議会.くすりのしおり.
(2022年11月29日閲覧:https://www.rad-ar.or.jp/siori/index.html
3)  ビオスリー 添付文書
4)  ビオスミン 添付文書

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。

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