『口内の薬』子ども(小児)の処方箋:咽頭炎、扁桃炎、 口内炎 、口内の傷などで処方される薬【医師監修】

2022.06.21

6

口内の薬ってどんな薬?  【監修】松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

かぜなどの感染症の予防対策として日本人が習慣的にしているのは「手洗い」や「うがい」です。
子どものころ、「外から帰ったらうがい、手洗い」と教えられた方も多いのではないでしょうか。

「うがい」は口の中の洗浄を目的とした「ブクブクうがい」と、のどの洗浄を目的とした「ガラガラうがい」があります。

実際にかぜなどの感染症を防ぐ効果については、2~6歳の健康な子ども約2万人に協力してもらった研究で、うがいをすると発熱の予防に効果があるとされています1)

この研究では、うがいを水道水、塩素水、緑茶などで1日1回以上した調査を行っていて、予防効果としては「何でうがいをするか」よりも、「うがいという行為そのものをすること」が有益な可能性があるとされています。
お子さんの年齢に応じてうがいのやり方を教えてあげてもよいでしょう。


 

一方、のどの病気や口内の病気の治療に医師が処方するのが、口内の薬です。
うがい薬としては、消毒薬を含む製剤、炎症を抑える成分の製剤があり、のどの炎症や口内の傷などに使われます。
他には、口内炎に使う軟膏、トローチなどもあります。

口内炎ができると食べ物や飲み物がしみてつらいものですが、ステロイド薬が口の粘膜の炎症を抑えます。
常に湿っている口内の粘膜にしっかり付着するように工夫されています。
トローチは、大人にとっては身近な存在ですが、乳児はのどにつかえる可能性があるので、処方されるケースは限られます。

この記事では、子どもに使われる主な口内の薬を紹介します(2022年6月時点)。
薬を使い始めて何か気がかりなことがあれば、医師、薬剤師に相談しましょう。

口内の薬がよく処方される病気

咽頭炎(いんとうえん)、扁桃炎(へんとうえん)、口内炎、口内の傷
など

主な口内の薬の種類

アフタゾロン(デキサメタゾン)
<薬の形状>
口腔用軟膏
<特徴>
口の中に使うステロイド薬です。
抗炎症作用で口内の炎症を抑えます。
<注意>
主な副作用として、口腔の感染症、過敏症状(皮膚の刺激症状〈ヒリヒリ感〉、発疹)などが報告されています2)
これらの症状が現れたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

 

イソジンガーグル液/ポビドンヨードガーグル液(ポビドンヨード)
<薬の形状>
うがい液
<特徴>
ヨウ素の働きで、のどや口内の細菌、真菌、ウイルスを消毒します。
<注意>
主な副作用として、吐き気、口内刺激、不快感、口内のあれ、口腔粘膜びらん、口腔内灼燃感、発疹などが報告されています2)
これらの症状が現れたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

 

アズノールうがい液(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物)
<薬の形状>
うがい液
<特徴>
口内やのどの粘膜に直接作用して炎症を抑え、傷の治りを早めます。
水かぬるま湯に溶かし、うがい用に使います。
<注意>
主な副作用として、口内のあれ、口の中・のどの刺激感などが報告されています2)
これらの症状が現れたら、医師・薬剤師に相談しましょう。

 

SPトローチ(デカリニウム塩化物)
<薬の形状>
トローチ
<特徴>
口内やのどの殺菌作用があります。
<注意>
かみ砕いたり、飲み込んだりせず、できるだけ長く口の中に含み、有効成分が口内に長時間保たれるようにします2)

『参考資料』

1)Tatsuya Noda et al.Journal of Epidemiology 22(1): 45–49,2012.
2)くすりの適正使用協議会.くすりのしおり.(2022年5月閲覧:https://www.rad-ar.or.jp/siori/index.html 

《 監修 》

  • 松井 潔(まつい きよし) 総合診療科医

    神奈川県立こども医療センター総合診療科部長。愛媛大学卒業。
    神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て2005年より現職。小児科専門医、小児神経専門医。

    松井潔先生監修記事一覧
    📖子育てに掲載中の記事
     
     

     

    💡休日・夜間の子どもの症状で困った時は☎【♯8000】

     

    保護者の方が、休日・夜間の子どもの症状にどのように対処したらよいのか、病院を受診した方がよいのかなど判断に迷った時に、小児科医師・看護師に電話で相談できるものです。
    この事業は全国統一の短縮番号♯8000をプッシュすることにより、お住いの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けられます。
    厚生労働省ホームページ:子ども医療電話相談事業(♯8000)について

     

    【本サイトの記事について】
    本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。 Unauthorized copying prohibited.
    登場する固有名詞や特定の事例は、実在する人物、企業、団体とは関係ありません。インタビュー記事は取材に基づき作成しています。
    また、記事本文に記載のある製品名や固有名詞(他企業が持つ一部の商標)については、(®、™)の表示がない場合がありますので、その点をご理解ください。

この記事は役に立ちましたか?

ありがとうございます!フィードバックが送信されました。