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【Vol.02後編】「 妊娠後骨粗しょう症 」ってどんな病気? 私の骨、大丈夫?と気になったら骨密度測定を【医師インタビュー記事】

2024.09.02

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【監修】産婦人科医:善方裕美先生(よしかた産婦人科)

妊娠後期から授乳期に突然の腰椎骨折が起きる「妊娠後骨粗しょう症」。
啓発に力を入れている産婦人科医の善方裕美先生によると予防のためには妊娠を考えるずっと前、思春期から骨密度を上げることが重要になってくるそうです。
もし「妊娠後骨粗しょう症」が気になったら、今からでもすぐにできる対策はあるのでしょうか?
 

 


〈善方裕美先生:妊娠後骨粗しょう症について産婦人科医の立場から啓発を続けています〉

「骨密度」は簡単に身体に負担なく測定できる

 
――前編で、エストロゲン量がどんどん増えていく思春期から骨のことを気にしなければならないとお聞きしました。それはなぜですか?
 

善方

骨密度の最大値をピークボーンマスと言います。
ピークボーンマスで、できる限り骨密度を上げておかないと、その後は下がっていく一方なので。
ピークボーンマスが低いと、ずっと骨密度が低いままで、骨粗しょう症のリスクも高くなります。
だからこそ、思春期のうちは、過度なダイエットをせず、しっかり睡眠と栄養を取って、適度な運動もして、ピークボーンマスを高めておいてほしいのです。

 
――もし、思春期の頃に低栄養低体重で、ピークボーンマスが低かったと思う場合は、どうしたらいいですか?
 

善方

無月経が続いていたり、BMI(肥満度の指標)が低くて痩せ症だったりした場合は、一度骨密度を測ってみるといいと思います。
『骨検』という骨粗しょう症に関する情報が集約されているサイトで、骨の検査が受けられる病院の検索ができます。
自宅や職場近くの通いやすい病院を探して「骨密度を測りたい」と連絡してみてください。

 

📖骨にも検診プロジェクト: 『骨検』https://honeken.jp/

 
 

――骨密度の測定はどのように検査をしますか?
 

善方

DEXA(デキサ)法というX線を使って腰椎と大腿骨の骨密度を測定する方法がお勧めです。
普通のレントゲン(X線検査)と同じで、機械の上に横になるだけで、事前に準備することも、痛みもなく、すぐに検査が終わります。
X線の量も胸部レントゲンの6分の1ほどです。
ただし、X線を使うので妊娠中は測れません。

 

〈骨密度計測の様子。横になるだけで完了です〉

サプリメントも活用して1日700㎎のカルシウム摂取を

 
――骨密度が低く、妊娠後骨粗しょう症になりやすいと分かった場合はどうしたらいいでしょうか?
 

善方

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKと骨の再生のために必要な栄養素をしっかり取ってほしいです。
カルシウムの豊富な食品は乳製品、小魚のほかには、大豆製品、葉物野菜があります。
特に葉物野菜や納豆はビタミンKも含まれているのでお勧めです。

 
――カルシウムは1日どのくらい摂取できるといいのでしょう?
 

善方

骨の健康のためには1日700㎎が目安といわれています。
この量を食事だけですべて摂取するのは難しいと思うので、サプリメントやカルシウムが強化されている食品もうまく取り入れましょう。
コンビニでも売られている乳酸菌飲料にも1日分のカルシウムが取れると表示されているものがあるので、そういったものも活用してほしいです。

 
――カルシウムのサプリメントは母乳には影響ないですか?
 

善方

問題ありません。
むしろカルシウムがたくさん必要な時期なので、取るのをお勧めしたいくらいです。

 
画像:よしかた産婦人科_骨密度データ(P1)

〈骨密度の検査結果。自分の骨の状態が良く分かります。〉

赤ちゃんを抱っこしてウォーキングするのは骨に最適な運動

 
――食事以外での対策はありますか?
 

善方

運動ですね。
思春期に骨密度が上がり切らなかった原因は、栄養不足以外に運動不足も意外と多いです。なぜ運動が大事かと言うと、骨の中の骨細胞は荷重負荷がかかる運動をすると、その衝撃を感知して「骨を増やせ!」という命令を出すんです。

 
――荷重負荷がかかる運動とはどのようなものですか?
 

善方

骨粗しょう症防止のために良くお伝えしているのは、歯みがきをしているときやキッチンで皿洗いをしているときにかかとを上げて落とす「かかと落とし」ですね。
プールで泳ぐとか自転車をこぐとかも何もしないよりはいいのですが、骨のことを考えるなら過重負荷がかかるウォーキングやジョギングなどの方がお勧めです。
また、なるべく負荷を強くするため、体重の軽い方は水の入ったペットボトルを持って歩くなど、重さを追加するといいです。

 
――赤ちゃんを抱っこやおんぶするのも負荷をかけられる運動になりますか?
 

善方

もちろんです!
なので骨粗しょう症防止の意味では、ベビーカーではなく、抱っこやおんぶで赤ちゃんとお散歩するのは理にかなっています。

 
――逆に育児中にやりがちなことで、妊娠後骨粗しょう症に良くない動きや姿勢はありますか?
 

善方

前かがみの状態でおむつ替えや着替えなど赤ちゃんのお世話をするのは腰に良くないですね。
完全に立った状態でやるか、完全に座った状態の方がいいです。
赤ちゃんを抱き上げるとか、床に置いてあるものを持ち上げるときも、立った状態から腰をかがめて力を入れるのではなく、しゃがんだ状態で持って立ち上がると腰への負担が少ないです。
しゃがんで立ち上がるのはスクワットにもなるので、骨盤底筋を鍛えるためにもいいんですよ。

 
――これから妊娠を考えている方がやっておいた方がいいのはどのようなことでしょう?
 

善方

今はやっぱり痩せている妊婦さんが多いので、自分が適正体重かどうかを見直してほしいです。
体重が重ければいいかというと、体脂肪率が高いと骨密度が低くなるので、やはり適正体重を目指してほしいですね。
皆さんお忙しいと思いますが、カルシウムに限らず栄養をしっかり取って適度な運動をする。
基本的なことですが、これが大切だと思います。

今回の記事のまとめ

必要な栄養を取り、運動を行うことで骨は強くなる!

カルシウムやビタミンD、ビタミンKをしっかりと摂取すること、荷重負荷がかかるような運動を行うことで、骨を強くすることができます。
思春期に過度なダイエットをしたことがある、乳製品が苦手で偏食気味、痩せ型、運動をしないなど、骨粗しょう症ハイリスクの人は、まず一度、骨密度測定をしてみましょう。
その上で、自分に合った『骨活』を実践することをお勧めします。

《 監修 》

  • 善方 裕美(よしかた ひろみ)産婦人科医

    よしかた産婦人科院長・横浜市立大学産婦人科客員准教授
    日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医、日本骨粗鬆症学会 認定医・評議員、
    妊娠・出産のみならず、長年更年期女性の治療も行うなど、生涯にわたる女性のヘルスケアを専門とする。
    厚生労働省のスマートライフプロジェクト「骨活」監修【HP
    近年増加傾向にあるとされる「妊娠後骨粗しょう症」啓発プロジェクトの発起人。
    ▶HP https://www.yoshikata.or.jp/ よしかた産婦人科
     
     

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