2020.01.31
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産休中は健康保険、育休中は雇用保険から給与の代わりにお金が支給されますが、これまでもらっていた月額給与よりは低い金額となりますので、同じ金額の社会保険料を負担するとなるとキツイ・・ということも考えられますよね。
産休中・育休中の社会保険料の取り扱いを見ていきます。
※こちらの記事は2020年に作成したものになります。
もちろん「男性の育児休業」も同様です。
そして、医療機関の利用や、将来もらえる年金額にも影響がありません。
引かれる金額も少い地味な存在の雇用保険も、給料を支払う都度発生するものですから、こちらは今も昔も、給料がゼロなら保険料もゼロとなります。
まずは、ホッとしましたでしょうか。
ですが、これでおしまいにしてはいけません。
もう少し、細かく見ていきましょう。
会社によっては、法定の産前休業期間である「産前6週間(42日)」よりも前から産休に入ることができたり、認可保育園の空き状況に関わらず3歳やそれ以上(3歳到達後の年度末など)までの休業を認めていたりする会社もあります。
ですが、社会保険料の免除対象となるのは、法定の産休期間と3歳の誕生日前日までの育児休業期間です。
免除対象でなければ、給料が発生しないにも関わらず、休業前と同じ金額の社会保険料を支払う必要がありますので、その点を考慮したうえで休業を決める必要があると言えます。
※出産日が予定日より前倒しになり、かつ一定要件を満たす場合は法定の産前休業よりも前の月から保険料免除になる場合があります。
「月の末日に保険料がかかる状態かどうか」で判定されます。
月の途中から産休に入る場合月は、給料が割合で支給されますが、社会保険料の負担はゼロです。
逆に、育休から復帰する月は、月途中の復帰で給料が割合で支給されたとしても、1カ月分の社会保険料(特殊事例もありますが、通常は休業前と同じ金額)を負担することになります。
この、「月の末日で判定する」というのは、賞与についても同じです。「産休に入る月に賞与が支払われた」という場合は、賞与にかかるはずの社会保険料も全額免除されることになります。これは結構お得に感じますね。
会社が健康保険・厚生年金の保険料免除申請を行って、初めて保険料が免除されます。
また、保険料免除の申請を行っていたとしても、単に給与システムの設定ミスなどで、保険料が天引きされているということもあり得ます。産休中も給料が一部または全額出る会社もありますので、給与明細は要チェックです。
チェックする時は、社会保険料の天引きは1カ月遅れという点にご注意ください。産休に入り、その月は免除対象となりますが、実際に免除になるのは翌月からです。
復帰する際も、復帰月は保険料が発生しますが、実際に天引きされるのは翌月からとなり、復帰月は保険料の天引きはされません。
ただし、稀に社会保険料の天引きを1カ月遅れにしない(当月に天引きする)会社もありますので、どちらか不明の場合は会社の人事労務担当に聞いてみましょう。
なお、小さな会社などですと、そもそも保険料免除の制度を知らないという可能性も出てきます。
特に「産休中」の保険料免除は、平成26年4月から始まった割と新しい制度です(年金機構は「産前産後休業保険料免除制度」という名称を使用しています)。
「10年ぶりに産休者が出た」などという会社にお勤めの方などは、会社から社会保険料の請求書などが来る可能性もありますので、鵜呑みにして払ってしまわないように気を付けましょう。
《 監修 》
木幡 徹(こはた とおる) 社会保険労務士
1983年北海道生まれ。大企業向け社労士法人で外部専門家として培った知見を活かし、就業規則整備・人事制度構築・労務手続きフロー確立など、労務管理全般を組織内から整える。スタートアップ企業の体制構築やIPO準備のサポートを主力とし、企業側・労働者側のどちらにも偏らない分析とアドバイスを行う。
▶HP https://fe-labor-research.com/