2020.04.06
妊娠は病気ではありませんが、通常とは異なる特別な健康状態だということを理解しておくことが必要です。
約10カ月をかけ自分の体内で新しい命を育み、女性の身体は赤ちゃんの成長や出産に向けて準備をし、変化していきます。それに伴い、女性の気分や体調、不快症状が変わってきます。ホルモンのバランスが変わることで、心と体が劇的に変化し、不安や動揺が強くなることもあります。
しかし、どんなトラブル・気がかりがあるかは個人差が大きいので、パートナーをいたわり、してほしいことを確認しながら、二人で妊娠・出産・子育てに臨むという姿勢を育みましょう。
身体的に変化の起きない男性にとって、妊娠・出産は実感がわかないというのも自然な感覚だと思います。
だからこそ、妊婦のパートナーとしてのマインドセットが必要です。
①一緒に学ぶ・知る
女性は、当事者として自分の体内で起こる変化を日々受け入れながら生活しています。しかし、男性には身体的変化がないので、妊婦の体調を考慮した生活にシフトする必要があるのですが、気持ちが追いつかないことが多いようです。「妊娠すると女性の身体はどのように変化するのか」、「出産とはどのようなメカニズムで起こるのか」などを、当事者意識を持ち積極的にパートナーと共に学んでいきましょう。一緒にファミリー学級などに参加するのもよいですね。徐々に気持ちを慣らしていきましょう。
②解決しようとしない
パートナーの悩みごとなどに対して解決策をすぐ提示するよりも、まずは話を十分聞くことが大切です。パートナーは案外、問題を解決したいというより、話を聞いてもらいたいというニーズが強いことも。そうなんだねと、同調したり、一緒に考えようなどとアシストするスタンスが円満の秘訣です。アドバイスよりヒアリングを意識しましょう。
③想像力と思いやりを持とう
「味覚や嗅覚が超敏感になるらしいけどただの水も飲みづらいかな?」「お腹がせり出してきたら、かがんだり手を伸ばしたりする動作はきついよな」「ここは足元が滑って危ないな」など、相手の立場になって想像をしてみましょう。少しのサポートが妊婦にとっては大きな助けになることもあります。
たとえば、今日のパートナーはつわりがつらそうな様子であったとします。吐き気がつらそうなら「何か飲みたいものはあるかな?」「何とか食べれそうなものはあるかな?」と、買って帰れるものを聞いてみたり、背中をさすってあげるなど、思いやりを持った行動も大切です。
④できるだけ一緒に過ごすようにする
そしてなんといっても、これだけはやってほしいのが、できるだけ一緒に過ごす時間を作ることにチャレンジしてみましょう。細かい気遣いが苦手な方は、まずはここから意識してみることをおすすめします。妊娠期は、何かと不安や孤独、心配事 で精神のバランスが乱れることが多いです。人と話していたり、気を紛らわすものがあるだけで、妊婦の気持ちは本当に楽になります。ただ、話を聞くだけ、側に寄り添うだけでパートナーにとってはとても心強いものですよ。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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