2020.05.18
子宮は、臍とみぞおちの間くらいまで達します。おなかがせり出し、足元が見えにくくなるので、階段の上り下りには特に注意しましょう。
大きなおなかで横になる姿勢がつらく、また赤ちゃんの胎動が気になるという身体的な理由やホルモンの影響で、夜なかなか眠れなくなる人もいます。
日中も楽な姿勢で身体を休めたり、仮眠を取ったりして休息を心がけましょう。
子宮が胃を圧迫するせいで、あまり食べられなくなってしまう人もいますが、分食などして、おなかの赤ちゃんのためにも栄養はしっかり取るようにしましょう。
人によって乳輪部や外陰部が黒ずんできますが、これはホルモンの影響です。
産後徐々に戻っていきます。また、おなかや乳房、太もも、おしりなどに皮膚が裂けたような線が見られることがあります。
これは「妊娠線」と呼ばれるもので、皮膚が急に伸ばされることが原因でできます。保湿することで、予防や症状を軽くすることができます。
おなかが張る回数も増えますが、しばらく休んで治まるならまず問題はありません。しかし、痛みや出血を伴ったり、おなかが頻回に張るようなら医師に相談しましょう。
≪注意すべき病気と症状≫
安定期に入ると胎盤が完成してホルモンバランスも安定するようになるので、つわりが軽くなるなど体の状態が良くなります。
そうなるとつい油断してしまい、食べすぎてしまうということがあります。
この時期に急激に体重を増やすと妊娠高血圧症候群を発症することがあるので注意しましょう。
①やっておくべきこと
1)産休・育休のための引き継ぎや手続きの確認
産休(産前産後休業)は出産予定日の産前6週間(42日)+産後8週間(56日)取得ができます。
双子以上 の場合は産前14週間(98日)からの開始です。
請求方法は会社によって違うので、どのような手続きをすれば良いのか確認しておきましょう。
産休の後の育休(育児休業)は会社に申し出ることで子どもが1歳になるまでの間(延長も可能)で希望する期間、育児のために休業できる制度です。
育休を取得できる人の要件は決まっているので確認が必要です。また、育休の申し出は法律で、休業開始予定日の1カ月前までと定められています。
産後休業に続けて育休を取得する時は、産前休業に入る前や、産前休業の間に申し出を行う必要があります。これらの制度は要件を満たせば利用する権利は法的に認められていますが、休業中にできるだけ迷惑をかけないよう仕事の引き継ぎ準備はしっかり行い、職場でも普段から円滑なコミュニケーションを心がけるようにしましょう。
2)里帰り出産の準備も進めましょう
里帰り出産を希望する場合は、出産する病院からいつ転院して受診するかを指示されることがあります。
一方、早産の傾向がある時などは、予定よりも早く里帰りするよう勧められるかもしれません。急に里帰りすることになっても慌てないよう、転院・移動の準備は早めに進めておきましょう。
長距離の移動は体に負担がかかるため、安定した時期に行うのが望ましいです。飛行機を利用する場合は航空会社ごとに、出産予定日まで28日を切っているなら医師の診断書が必要、など搭乗条件が設けられています。あらかじめ、いつ、どの交通機関で里帰りするか、予定を立てておきましょう。
(▶関連:里帰り出産の時期や気を付けたいこと)
②やらないほうがよいこと
仰向けで寝るとおなかが張りやすくなったり息苦しさを感じたりすることもあります。おなかを圧迫しない姿勢で寝るようにしましょう。
左側臥位(そくがい)で寝ると良いとされています。
体の左側には大動脈、右側には大静脈が走っており、静脈は動脈より弾力性がないため、妊婦さんが左側を上にして寝ると子宮で大静脈が圧迫され、心臓へ向かう血行が悪くなって寝苦しさを感じてしまうことがあるためです。
また、静脈のそばを流れるリンパ管も圧迫されるので、手足先から戻ってきたリンパ液の流れが阻害され、むくみや静脈瘤の原因になることがあります。特にむくみやすい方は、左側を下にして寝るのがオススメです。
日常の動きがつらくなる時期です。ふとんの上げ下ろし、荷物持ち、お風呂掃除などはパートナーにやってもらいましょう。
長時間の運転、立ちっぱなしなどは避けるようにしましょう。転倒を防ぐため、高いところに上ったりするのも避け、おなかが大きい分、ゆっくり余裕をもって動くようにしましょう。
新しい命への期待に胸をふくらませる一方で、出産に対する恐怖心を持っている人も多いようです。
生まれてきたわが子を抱くと、痛みよりも幸せと感動で、陣痛の痛みは産んだら忘れてしまう、ともいわれます。案ずるより産むが易し。残り少ない、妊婦生活を楽しみましょう。
骨格がほぼ完成し、心臓や肺、腎臓などの内臓器官や脳などの中枢神経の機能もかなり充実してきます。
おなかの中で赤ちゃんは、臍帯を通して呼吸していますから、肺はまだ閉じた状態です。
筋肉と聴覚が発達し、神経の動きも活発になります
。31週ごろには心臓、肺、腎臓などの内臓器官や中枢神経の機能が完成に近づき、目の網膜が完成し、明るさを感じられるようになります。
子宮の中での位置がほぼ決まり、赤ちゃんの動きが激しくなり、おなかを蹴る回数も増えてきます。キックは以前よりも力強くなってきます。狭い子宮の中で寝返りなどをする赤ちゃんもいます。
聴覚も発達し、音の高低や大小をある程度聞き分けられるようになります。
おなかの中の赤ちゃんに語りかけるなど、コミュニケーションを取ってみましょう。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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