2020.06.15
出産前後に、実家に帰り過ごすことを里帰り出産といいます。これは、日本やアジアの一部で行われている様式です。
里帰り出産をすると良い点として、産後に多くの手があり、実家の家族が家事や育児を主に担ってくれるので、育児に専念できるということでしょう。また、病院へ送迎してくれるなども、家庭によってはあるようです。しかし、人によっては親と生活のペースが違うので、慣れるまでにストレスを感じたという意見もあります。
また、夫と離れ離れの生活になってしまうため、産後や育児の大変さを分かってもらえないこと、毎日変化するベビーの成長を父親として見ることができないことは、里帰り出産の大きなデメリットです。
自治体の補助で受けられる健診や出産費用の手続きが面倒ということもあります(いったん立て替え、後日申請など)。諸所条件を踏まえ、自分たちにとってより良い選択をしましょう。
①産院を決め予約をする
まず、実家の近くの里帰り出産を受け入れてくれる産院を探しましょう。里帰り先の産院をできれば早い段階で、遅くとも妊娠中期までには決めて予約をしましょう。
予約制のところだといっぱいになってしまうこともありますし、臨月になってから初めて病院へ行っても、入院できない場合があります。そして、可能であれば、妊娠中期ごろに一度、その病院で診察を受けておくとよいでしょう。
医師やスタッフとコミュニケーションをとり、病院の雰囲気や設備を知っておくことは重要です。
また、現在定期健診を受けている病院にも、里帰り出産することを決めた時点でその意思を伝えておきましょう。出発前に、里帰り先の病院宛に、妊娠経過を記入した紹介状を書いてもらうと安心です。
②帰るための時期と移動方法を検討する
里帰りは余裕をもって、妊娠32~35週の間にするのがベストですが、まずは里帰り先の病院と時期を確認したうえで、計画的な里帰り出産を行いましょう。
移動する週数と距離にもよりますが、なるべく移動時間が短く振動の少ない方法を考えましょう。
スケジュールも、普段の旅行よりゆったりできる時間で組んでおきましょう。また、飛行機には搭乗規定があるので注意が必要です。出産予定日の29日前までは制限はありませんが、予定日28日前からは、医師の診断書と本人の誓約書(確認書)が必要となります。各航空会社で、ヘルプもしくはサイト内検索で「妊娠」と打つと詳しい情報がえられるので、参考にしてみてください。
出産や産後に必要な荷物を準備したら、大体のものは実家に送っておき、身軽な状態で里帰りできるようにしておきましょう。
③不在時の生活について話し合っておく
里帰り出産をする場合、長期間夫と離れて暮らすことになりますので、留守中のことを事前によく相談しておくことが大切です。
ゴミの日やお金の振込み日などをカレンダーに書き込んだり、緊急連絡先のリストを作ったりしておくとよいでしょう。里帰りしてからも連絡を取り合い、コミュニケーションを図るようにしましょう。
出産後も、夫は赤ちゃんの成長がなかなか見られないので、写真付きのメールを送ってみたり、赤ちゃんの様子をこまめに伝えましょう。
少しでも赤ちゃんとのふれあいの時間を作ることで、父親としての自覚が芽生えるはずです。
自宅に戻る時期は、出産した産院で1カ月健診を受け、お母さんの体の回復と赤ちゃんの成長が確認されてからがベストです。車での移動は渋滞を避け、チャイルドシートの着用が義務付けられていますから、必ず事前に用意しておきましょう。新幹線での移動は、指定席などを利用しましょう。飛行機の場合は、赤ちゃんを膝に抱いてのることになるので、可能なら広めのシートを利用したり、移動がしやすい座席を選びましょう。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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