妊娠中 の心の準備赤ちゃんを産むこと、生まれてくることを考える【助産師監修】

2020.07.13

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赤ちゃん大

命を産むということ

あなたは、どのように新しい命を迎えたいですか。

赤ちゃんは、どのように生まれたいと思っているでしょうか。

 

出産は命がけの行為です。どんなに医療が発達しても、出産で亡くなる可能性はゼロとは言い切れません。日本においても、毎年50人前後の妊産婦の方々が、様々な理由で亡くなっています。

 

出産は、生物としての原始的なメカニズムで起こります。
出産は自然の営みだといわれますが、人類は直立二足歩行により大脳容積が拡大した結果、出産をするために大きな娩出力と長い分娩時間が必要になりました。
したがって、人間の出産にはそれをサポートする人、助ける人が必要です。これは人間の進化においてとてもすてきなことで、自己完結ではなく、弱いからこそたくさんの人の手を借り集団で命を守り育んでいく、素晴らしい能力を獲得したと思います。

 

出産は人間の生理的な現象の一つですので、基本的には自然に任せておけば、多くはうまくいくものです。生まれながらに備わっている能力を封じ込めず、女性の産む力、赤ちゃんの生まれる力が適切に働くよう、妊娠期からその準備を進めておきましょう。

 

経腟分娩、帝王切開、無痛分娩、誘発分娩など、現代の日本では、様々な出産のスタイルがあります。ただどんなに望んでも、自分たちの思い通りにならないこともあります。そのすべてを引き受けてこその出産です。ですから、家族や医療者と十分話し合い、納得して新しい命を迎えましょう。

赤ちゃんはどのように生まれたいのか

出産は、赤ちゃんとお母さんの協同作業で行われます。大抵の場合は、赤ちゃんの準備と、お母さんの身体の準備が整った時に陣痛が起こります。赤ちゃんは、狭く苦しい産道を通り、誰に教えられたわけでもないのに、それは見事に生まれてきます。

 

出産のメカニズムから見ると、赤ちゃん側に主導権があり、子宮の収縮の強弱をつけているといわれています。例えば、首にへその緒が巻き付いていたりすると苦しいので、分娩はゆっくり進みます。時間がかかる時や、逆に急激に進むときには、何らかの要因があり、それを赤ちゃんが上手にコントロールしているようです。

 

出産を語る時、どうしても母体を中心に語られることがほとんどです。もちろん母体の諸事情により医学的な介入が必要な時もあります。しかし、社会的理由など大人の都合だけではなく、赤ちゃんにとってどのようにするのがよい出産方法なのかについても考えて決断してほしいのです。十分考え、決断をしたのであれば、それは家族のためにベストな方法なのだと思います。

 

出産はよく山登りにたとえられます。登ったことのない山で遭難しないためにも、案内人が必要です。海抜0mから登りたい人、5合目から登る人、ヘリコプターで頂上を目指す人、など様々です。どのルートを通ろうが、頂上から眺める景色は赤ちゃんとあなただけのものです。自分たちが、満足してその景色を眺めることができるように一歩を踏み出す準備はしっかりしておきましょう。

《 監修 》

  • 濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師

    大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
    助産師・保健師・看護師。
    産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
    はぐふるアンバサダー。
     
    妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
    また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
     
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