2020.02.03
妊娠中期になると、ほとんどの人が赤ちゃんの胎動を感じ、おなかの赤ちゃんをますます実感できるようになるでしょう。子宮は大人の頭よりもひと回り大きくなり、子宮底がおへその高さまで達します。
赤ちゃんが大きくなり、おなかがグッと前にせり出してきます。
子宮の大きさは、赤ちゃんの身体の大きさや羊水量などの目安になりますから、小さすぎる時や大きすぎる時は、超音波検査(エコー)で、胎児の体重を推定したり、羊水量を測って確かめます。
腰痛や背中の痛みを感じるお母さんも出てきます。これからおなかはもっと大きくなりますので、この時期から腰痛予防として「適度な運動」を習慣にしましょう。
身体中では出産や産後の育児に向けて、ホルモンが活発に活動を開始しています。
妊娠6カ月ごろにはホルモンの影響を受けて、乳腺はかなり発達して、乳首を押すと薄い黄色みを帯びた乳汁が出ることがあります。
分泌物で、皮膚や下着を汚染することがあるので清潔に保つように気をつけましょう。
妊娠健診は、体重と血圧の測定、尿検査、子宮底長の測定などを引き続き行います。体重が増えすぎていないか、むくみが出ていないかも確認します。
また胎盤がどの位置に付着しているかも、超音波検査でチェックします。
胎盤の位置が通常よりも子宮の下方にあり、子宮口を覆ってしまっている状態を「前置胎盤」、胎盤が子宮口の近くまで下がっている状態を「低置胎盤」と呼びますが、これらが疑われる場合は24週以降に経腟超音波検査で確定診断を行います。
おなかが前にせり出してくるので身体重心がずれ、腰や背中に負担がかかるため、痛みを感じることもあります。重心のずれやおなかの重みで、ふくらはぎの筋肉が疲労して、足がつったりすることもあります。
つってしまった足の親指を持ち、おなか側に引っ張ると痛みが緩和します。
≪注意すべき病気と症状≫
①むくみの予防と解消を心がけよう
大きくなったおなかが下半身を圧迫し、血流が悪くなることが原因で、足にむくみが出やすい時期です。足のストレッチやマッサージを行い、寝る時に足を少し高くして、症状を和らげるようにし、十分な睡眠時間を取るように心がけましょう。
また、栄養バランスの取れた食事も大切なポイントです。特に、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出させるカリウムなどが不足しないようにしましょう。
②妊娠糖尿病に注意を
妊娠糖尿病は、妊娠中に起こる糖の代謝異常です。
通常、食後に上昇する血糖値は膵臓から出るインスリンというホルモンの作用で筋肉や脂肪に血中のブドウ糖が送られて下がりますが、妊娠20週以降は赤ちゃんにたくさんのブドウ糖が送られるよう、胎盤から出されるホルモンの影響でインスリンが効きにくい状態になります。
そのため母体で血糖値が上がりやすくなり、妊娠糖尿病になりやすくなると考えられています。妊娠糖尿病は妊娠初期に血糖値を測定し、基準より高かった場合は必要に応じてさらに詳しい検査を受けます。
また、妊娠初期に問題ないと診断されていた人も、24週以降に再度、検査を受けることが推奨されています。妊娠糖尿病になると、お母さんとおなかの中の赤ちゃんともに様々な合併症が引き起こされるリスクがあるので、妊娠糖尿病と診断された時には、食事療法やインスリン療法など適切な治療を受けることになります。
③過度なダイエットはやめましょう
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病にならないよう、妊娠中の体重管理は重要です。
一方、過度なダイエットでおなかの中で長期にわたって低栄養の状態が続いた赤ちゃんは将来、生活習慣病の発症率が高くなる、ということもあり、過度なダイエットは控えるようにしましょう。
妊娠中の適切な体重増加は必要なことです。
(▶関連:妊娠中の体重管理はどうして必要?理想の体重増加値や管理のポイント)
産院や自治体主催の両親学級が開催されるので、お父さんと2人で出席をし、心と身体の出産準備をはじめましょう。
また、ベビー用品の準備や、お父さんと2人だけの旅行を楽しむなら妊娠7カ月ごろまでがベストです。身体に無理のないスケジュールで楽しみましょう。
妊娠21週ごろの赤ちゃんには、髪の毛や眉毛が見られるようになります。超音波検査では判別しにくいですが手の指に爪が現れたり、まぶたが分離してまばたきが見られるようになったりもします。筋肉や骨格が発達し、赤ちゃんの動きが活発になってきます。妊娠20週を過ぎたころから、決まった時間になるとよく身体動かす、など活動に周期性が見られるようにもなります。
胎児の身体、全身に胎毛というものが生えていて羊水の刺激から守られていますが、この頃になると、胎脂という脂で全身が覆われるようになります。胎脂は、クリーム状で粘り気が強く、白色をしており、役目は胎毛と同じで、羊水の刺激や温度変化から身を守ることです。出産時には、胎児が傷つかないように潤滑油の働きをして、産道を通りやすくしてくれます。生まれたばかりの新生児のデリケートなお肌を乾燥から守る働きもあり、胎脂はとても重要な役割を果たしています。
また、生殖器官が発達して男女の違いが現れてくるころです。外性器はほとんど完成します。
見た目が新生児に近づくのもこの時期といわれています。だんだん顔つきがしっかりしてくるので、人間らしい顔になります。まつげや眉毛が生えはじめ、覆われていたまぶたが分かれて目が開きます。目が開くことによって、まばたきができるようになります。筋肉や骨格も発達し、手足も伸びるので動きも活発になります。
この時期になれば、赤ちゃんの聴力はほぼ完成し、おなかの外の大きな音が聞こえるようになると考えられています。おそらく、一番よく聞いているのはお母さんの声や心臓の音でしょう。ただし羊水の中にいるため、あまりはっきりとした音では聞こえていないと考えられています。
《 監修 》
濵脇 文子(はまわき ふみこ) 助産師
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授。
助産師・保健師・看護師。
産前産後ケアセンターヴィタリテハウス施設長。
はぐふるアンバサダー。
妊娠から産後まで、一人一人に寄り添い幅広くサポートを行う。
また、自治体や企業とマタニティーソリューションの事業構築や講演・執筆活動、専門職の教育研究にも携わる。
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