2022.02.10
「育児」という言葉だけでは線引きが曖昧になってしまいますが、法律上で時短勤務を行う権利があるのは、3歳未満の子(3歳の誕生日前日まで)を養育する方に限ります。
また、3歳未満の子を養育している方であっても、次に該当する方は、対象ではありません。
・日雇いの方
・1日の労働時間が6時間以下の方
また、労使協定により、次に該当する方を時短勤務対象者から除外している会社もあります。
(労使協定がなければ除外されません)
・入社1年未満の方
・1週間の所定労働日数が2日以下の方
上記の対象外とされる要件に当てはまらない限りは、時短勤務が行えます。
配偶者が専業主婦(夫)である、又は育児休業中であるなど、子どもの面倒を見ることができる家族が他にいる場合であっても、時短勤務を利用することが可能です。
もちろん男性も利用できます。
なお、3歳になるまでではなく、「小学校入学まで」など法律を上回る年齢まで時短勤務を認める会社もあります。
周囲の同僚や上司に聞くだけでなく、社内規則も確認してみましょう。
就業規則や育児介護休業規程という名称の規定に、記載があることが一般的です。
時短勤務で働く場合、1日の所定労働時間は法律上「6時間」です。
通常の所定労働時間が7時間45分などの会社があることを踏まえ、5時間45分から6時間の範囲で認められています。
社員側が「5時間」で勤務したいと考えていたとしても、会社は「5時間45分~6時間」以外の勤務体系を用意する義務はないので、会社の規定上難しいと判断される可能性があります。
また、始業終業の時刻についても特に法律上の規制がありません。
従いまして、必ずしも希望通りの労働時間や始業終業時刻とならない可能性があることに留意が必要です。
このあたりの詳細も、就業規則や育児介護休業規程で定められていることが一般的ですので、確認してみるといいでしょう。
なお、社風や職種にもよりますが、規定にはない柔軟な取扱いが行われる例もありますので、まずは希望する時間を打診してみることが大切といえます。
妊娠中の時短勤務(リンク)では、出産手当金と育児休業給付の金額に影響があるとに触れています。
しかし、育児休業後の時短勤務は、それらを受給した後に行われる時短勤務となりますので、金額等への影響はありません。
ただ、復帰後に次のお子さんを授かり、再び出産手当金や育児休業給付を受給することとなった際には、やはり影響が出る(少なくなる)可能性があります。
時短勤務してから次のお子さんを授かるよりも、育児休業中に次のお子さんを授かった方が、給付金の金額が多いという現象が起こることもあります。
このあたりが社会保険制度の複雑なところではありますが、給付金の損得勘定で考えることはお勧めしません。あなた自身が考える理想の家族計画とキャリア形成を優先させることが、健全な思考であるといえるでしょう。
参考:リンク追加(厚労省HP)
https://ryouritsu.mhlw.go.jp/qa01_04.html
《 監修 》
木幡 徹(こはた とおる) 社会保険労務士
1983年北海道生まれ。大企業向け社労士法人で外部専門家として培った知見を活かし、就業規則整備・人事制度構築・労務手続きフロー確立など、労務管理全般を組織内から整える。スタートアップ企業の体制構築やIPO準備のサポートを主力とし、企業側・労働者側のどちらにも偏らない分析とアドバイスを行う。
▶HP https://fe-labor-research.com/